コラム

コラム「公認会計士コンサルタント ぶっちー先生の独り言」

(株)ビジネスブレイン太田昭和 公認会計士 谷渕 将人

第3回 分社化したら利益が出た!のなぞ

業績悪化のため分社化された子会社が1年目から利益計上したらしい。こんな情報が耳に入った。

  • ぶっちー「素晴らしいですね~、何か特別な施策をとられたのでしょうか?」
  • 社長  「社員一同、後はないという覚悟で日々頑張った結果です。」
  • ぶっちー「売上が伸びたのでしょうか?それともリストラしてコストが減ったのでしょうか?」
  • 社長  「いやー、利益が伸びたんですよ。」

会計に強くない経営者と会計士が話すとこんな異種格闘技戦のようなかみ合わない会話が時々起こることがある。

経理課長がそっと耳打ちしてくれた。

  • 経理課長「親会社の事業部だった時には負担させられていた本部費の負担が無くなっただけですよ。」
  • ぶっちー「なるほど、だから社長は利益が出た理由を明確に説明できなかったんですね。」
  • 経理課長「経理部長も一応その旨を社長に説明していますが、社長はピンときていないようで、みんなが頑張ったことにした方がみんな幸せだと考えて、そのままにしているんです。」
  • ぶっちー「親会社にはどのように説明しているんですか?」
  • 経理課長「利益が出ているので細かいことは聞かれずに、この調子で頑張れと言われています。」
  • ぶっちー「なんかやばいニオイがしてきましたよ。」
  • 経理課長「親会社の中では分社化して上手くいった例とされ、今後業績が悪い事業部の分社化が進みそうです。」
  • ぶっちー「本社費自体の絶対額が減っていないなら、親会社に残った事業部の本社費負担が増えただけですよね?子会社化に伴い監査報酬等の間接費も増加しますよ。」
  • 経理課長「えぇ、まあ、そういうことになります。」

分社化にはその後売却しやすくなるといったリストラクチャリング上のメリットはありますが、決して分社化しただけで連結グループ全体の利益が増えるわけではありません。分社化に伴って、不採算工場や支店の閉鎖や統合、人件費カット等の施策がなければ、利益は増えません。
経営者の皆様にはこの点に十分ご留意いただきたいと思います。

組織は大きくなればなるほど、現場と経営者の距離が大きくなり、現場は都合の良い報告をするようになります。経営者は、なぜ報告のような結果になったのか、その原因が納得できるものかをしっかりと検証する必要があります。現場からの恣意性のある報告によって誤った意思決定をしてしまう前に!

 
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