第4回 子会社整備のアプローチ

子会社が先か?本社が先か?

連結経営管理基盤の必要性は認識しているが、具体的に進まない(もしくは、着手しない)ケースが多くあります。そのうちの1つの典型的な事由が、「子会社の管理水準が低いため、子会社の整備が先だ」というものです。しかし、子会社の整備に何年かかるのでしょうか?その間、経営は本当に待っていられるのでしょうか?すでに見てきたように、グローバル化の深化の中で、マネジメントの要件が変わり、情報ニーズは多様化しています。グループ経営のための情報基盤を未整備のままにしておくということは、極端な表現をすると「経営リスクを放置している」ことになります。最初から、期待した品質の情報を見ることができるかどうかは、子会社の管理水準に依存します。しかし、連結経営管理基盤という器を用意することにより、世界中の製造・販売拠点で分散管理されている情報を、従来に比べ「見える化」することが出来るようになります。

連結経営管理基盤という器を用意し、先ずは見える化の実現が重要だと考えられます。

グランドデザインと子会社整備

子会社の整備を先行させる場合に、「何を達成目標にするのか?」が問題になります。子会社の整備が終わったので、連結経営管理基盤の整備に着手しても、本社が必要とする情報を提供できる保証はありません。何故なら、子会社の整備の段階で、どのような情報を管理すべきか明示されていないからです。グランドデザインでは、組織構造や経営管理方式を反映した「自社の目指すべき姿」を定義します。その中で、「データ企画」「データ処理要件」を明確化します。グループ経営に必要な情報から、子会社への要請内容の全体像を提示できることになります。

グランドデザインで定義される情報要求をベースに子会社の診断を行い、特に問題のある子会社の改善を、重点的に(並行して)進めるということが、考えられます。

導入ステップとツール