2020年6月に「パワハラ防止法(労働施策総合推進法)」が大企業を対象に施行されてから約2年が経過し、2022年4月より同法で求められる防止措置がいよいよ中小企業へと拡大されます。
2021年12月に、施行後1年の状況について日本経済団体連合会(経団連)が行った調査結果によると、5年前に比べパワハラの相談件数が「増えた」と回答した企業の割合が44%という結果になりました。中小企業でもパワハラに対する従業員の関心が高まり、2022年4月以降からは相談件数が増加することが予想されます。
パワハラ防止法で、事業主に求められる防止措置としては、
などがあり、被害を受けた社員への適切なケアや再発防止について適切な対応が求められます。
パワハラは、被害者に大きな精神的・肉体的な苦痛を与えることはもとより、対策を怠った事業主は、行政上の指導、勧告、公表の対象となり、ブランド力の低下や採用にまで影響が出ることが考えられます。また、事業主の安全配慮義務とも関わる問題でもあり、訴訟リスクや、職場モラルの悪化による退職者の増加、生産性の低下などにもつながるおそれがあります。したがって、施行対象となる企業では、4月に向けて、対応方針の周知や就業規則の見直し、相談窓口の設置、管理者への教育など、自社での対策を急ぐ必要があります。
加えて、パワハラを中心としたハラスメントの発生を未然に防ぐ職場づくりに取り組んでいくことも重要となります。厚生労働省が行った調査結果によると、「ハラスメントが発生する職場の特徴」として、「業績の悪化」や「ハラスメント防止規定が制定されていない」といった外的・内的環境面の特徴をおさえ、パワハラ・セクハラともに「上司と部下のコミュニケーションがない/少ない」ことが特徴の1位に挙げられています。
これらを踏まえると、パワハラを未然に防ぐ施策として、人事制度の改定が一つの手段として考えられます。
評価制度を通じて、目標設定面接やフィードバック面接を実施し、上司と部下のコミュニケーションを促進することに加え、パワハラに対する姿勢や求める行動などを等級定義や評価基準に落とし込むことで、社員への周知・展開を図ることが有効です。
長引くコロナ禍で、上司と部下がコミュニケーションをとる機会は著しく減少しています。ハラスメントの発生を防ぐ風通しの良い職場づくりという面からも評価制度の見直しを検討してみてはいかがでしょうか。
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