
開催概要
日時:2025年11月18日(火) 13:30-19:00
会場:東京コンファレンスセンター・品川
主催:株式会社ビジネスブレイン太田昭和

フォーラムレポート

日時:2025年11月18日(火) 13:30-19:00
会場:東京コンファレンスセンター・品川
主催:株式会社ビジネスブレイン太田昭和

お客様とBBSをつなぐ毎年恒例のイベント「BBS FORUM」。AIをはじめとするデジタル技術の急速な進化、地球温暖化、人口減少など、企業を取り巻く環境が大きく変化するなか、2025年のフォーラムは、“経営や事業のあり方を根本から変革するビジネスイノベーション”をテーマに多くのお客様をお招きして開催しました。冒頭、当社代表取締役社長の小宮一浩が挨拶を述べた後、3名のスピーカーが登壇。その後、桂ひな太郎師匠の高座や懇親会も行いました。
桂ひな太郎師匠による恒例のBBS寄席
「当社グループもイノベーションを起こし、お客様に新たな価値を提供して
いきたい」と挨拶する当社代表取締役社長の小宮一浩
お客様同士のコミュニケーションの場にもなった講演終了後の懇親会
青山学院大学 地球社会共生学部 教授/陸上競技部 監督
1967年、広島県三原市出身。 世羅高校を経て、中京大学に進学し、全日本インカレ5000mで3位入賞。 卒業後、陸上競技部第1期生として中国電力に進むも、故障に悩み、5年目で競技生活から引退。95年、同社でサラリーマンとして再スタート。営業マンとして新商品を全社で最も売り上げ、ビジネスマンとしての能力を開花。
2004年、青山学院大学陸上競技部の監督に就任。09年に33年ぶりの箱根駅伝出場を果たす。15年、青学史上初となる箱根駅伝総合優勝に輝く。18年、箱根駅伝4連覇を達成。20年・22年の箱根駅伝では、それぞれ大会新記録で総合優勝。24年、第100回箱根駅伝でも大会記録を更新し、2年ぶり7度目の箱根駅伝総合優勝に返り咲いた。25年は前年の大会記録をさらに更新し、18年以来の箱根駅伝連覇を達成した。2019年4月からは地球社会共生学部教授として教壇にも立っている。
主な著書に、『最前線からの箱根駅伝論 監督就任20年の集大成』(ビジネス社刊)などがある。

最初に「今日の常識は明日の非常識」という自らの格言を紹介し、つねにイノベーションを意識してきたと語る原氏は、青山学院大学陸上競技部の監督就任にあたり「組織力で勝負するチームづくり」を目標に設定したといいます。この目標を達成するために、誰もが意見を素直に言い合える心理的安全性を確保すること、また発生した問題は全員で考え解決することを重視。これらを実践することで、チームの一体感が生まれ、個人とチームのパフォーマンスを高めてきたと解説しました。また、周囲の環境はつねに変化するため、今現在は問題がない組織であっても、何もしなければ未来の火種(潜在的な問題)は必ず顕在化します。そのため「問題解決思考」によっていち早く問題の原因を見極め、主体的に行動することが、より良い組織づくりの要点の一つであると強調。箱根駅伝で3連覇をめざす陸上競技部でもこうした取り組みを続け、課題解決能力が高く創意工夫ができる、社会で役立つ人材の育成につなげていると説明しました。
株式会社ビジネスブレイン太田昭和
取締役 常務執行役員 グループソリューション統括
1988年BBS入社。ソリューション部門の責任者として、数多くのSIプロジェクトでPMやアカウントマネージャーを担当し、プロジェクトの円滑な進行と成果の最大化に貢献してきた。2020年に取締役、2021年に常務執行役員就任。現在はグループ全体のソリューション事業を統括するとともに、BBSが開発した次世代システム基盤「ACT-Horizon」の導入をサポートするHorizon事業本部長も兼任。新たな事業創出と企業の経営課題解決に取り組んでいる。

BBS講演では、当社取締役 常務執行役員 グループソリューション統括の中村裕仁が「基幹システム導入の未来戦略」と題して講演を行いました。
日本企業が共通して抱えているIT上の課題――それはレガシーシステムの老朽化、デジタル人財の不足、そしてDX、AI導入です。これらを克服するための基幹システムの刷新は、単なる「入れ替え」ではなく、「事業戦略と一体となった変革」と捉える必要があります。基幹システムは、業務効率化の仕組みにとどまらず、競争力の強化や迅速・的確な経営判断、さらには新しいビジネス価値の創出といった企業の未来に直結する戦略的な役割も担っているからです。
中村はまず、今多くの企業が直面している基幹システムの課題について解説。経済産業省が「2025年の崖」という言葉で警鐘を鳴らした危機は克服されたとは言い難い状況であり、システム刷新が待ったなしの状況にあると言及しました。そのうえで、これからの基幹システムに求められるものは、AI活用を加速し、事業成長を支える「インテリジェントなDX基盤」であり、AIの能力を最大限に引き出すためのデータ設計と、機密データを守るための安全な枠組みを両輪に整備することが重要になると述べました。
続いて中村は、基幹システムの刷新プロジェクトを成功へ導くための重要ポイントについて解説しました。具体的には、プロジェクトに必要な視点として、(1)業務の見える化による標準化と効率化の両立、(2)データインフラの整備による経営判断の迅速化と高度化、(3)競争力の源泉となる差別化ポイントの実装、(4)変化に柔軟に対応できるシステム構造検討の4点を提示しました。さらに、基幹システムは企業の意思決定力や競争力を根本から高めるものであることから、プロジェクト推進時の重要な取り組みとして、IT部門だけでなく全社で進めるものであることの社内周知、経営陣による意思決定プロセスへの関与とプロジェクトの主導、従来業務にとらわれず効率的な業務プロセスを定義するという変革マインドの共有の3点を挙げ、昨今の人財不足の課題を克服するために「AI活用スキルに特化したリスキリング」も推し進めるべきであるとの考えを説明。こうして基幹システムへAIを戦略的に組み込むことで、業務と人財をあるべき姿へ変革することが可能になるとまとめました。
最後にBBSおよびグループ会社が提供している基幹システムの導入支援サービスとして、新たにリリースしたシステム開発基盤「ACT-Horizon」をはじめ、ERP導入サポートやオーダーメイド開発などを紹介し、講演を終えました。
アース製薬株式会社
上席執行役員 経営統括本部 本部長
1994年、三菱商事(株)に入社。語学研修生としてタイ・チェンマイ大学へ留学して語学を修得後、同国での自動車事業に従事。2000年に退職後、スタートアップ企業の立ち上げや、大手企業での経営企画や広報・マーケティング、インキュベーションなど幅広い領域の業務に従事。2019年アース製薬(株)に入社し、2020年に執行役員、2024年に上席執行役員、経営戦略本部本部長に就任。2025年より現職。

お客様講演は、アース製薬様で上席執行役員 経営統括本部 本部長を務める郷司功氏から、「収益構造改革を支えるデジタル戦略とオープンイノベーション」というテーマでお話しいただきました。
2025年に設立100周年を迎えたアース製薬様。郷司氏は同社の歴史を紹介した後、現在進めている新・中期経営計画「Act For SMILE COMPASS 2026」におけるポートフォリオ再編について説明し、そのなかでオープンイノベーションによって新たな収益の柱への育成をめざしている「MA-T®事業」に触れました。MA-T®とは、Matching Transformation Systemの略で、アース製薬様が特許を保有する日本発の革新的な酸化制御の仕組み。活性化の強弱を制御することで除菌や消臭、感染制御が可能になり、医療、食品、エネルギーなど広い分野で応用が見込まれています。そこでアース製薬様では自社による商品開発・販売に加え、IP(知的財産)ビジネスとしてさまざまな企業とオープンイノベーションを展開。産官学や各企業との連携においても一般社団法人日本MA-T工業会を設立・運営し、中心的な役割を担っています。こうした取り組みによって、身近な除菌・消臭剤の製品化が進み、避難所での感染対策の仕組みも構築されています。また、同工業会の加盟企業では社会の脱炭素化に貢献する技術として、メタンガスからバイオメタノールを合成する方法が開発されるなど、事業の成長に向けて着実に成果を上げていると現状を紹介しました。
このMA-T®事業について紹介した後、郷司氏は「収益構造改革のために、売上・シェア偏重から利益重視へ収益管理のモノサシ(評価軸)を再構築するとともに、システム刷新とDX基盤の構築も同時に取り組んできた」と説明しました。システム刷新については当初、生産・原価管理システムの変革からスタートしたものの、ゴールはシステム刷新ではなく、業務改革であることを明確にするため、中期経営計画の名を冠した「SMILEプロジェクト」と名付けて推進してきたと言及。対象システムも、生産・原価管理だけでなく、品質管理、PLM、需給管理、販売物流領域まで拡大し、サプライチェーン全体の最適化を図りながらプロジェクトを進めてきたといいます。
そして、郷司氏はプロジェクトの成果として「収益力の向上」を挙げました。収益構造改革は新・中期経営計画における重要な施策であり、引き続き人・システム・AIを強化し、持続的な成長をめざすと抱負を述べ講演を終了しました。