内部統制(J-SOX・不正防止)対応支援
SaaS型クラウドシステムの利用は広く普及し、利便性が高まっています。しかし、自社だけでシステム管理を完結できない点には注意が必要です。近年、ランサムウェアなどによる企業のシステム障害が増加しており、クラウドシステムの利用が困難になるケースも見られます。このような場合、システム提供者であるSaaS企業だけでなく、ユーザー企業でも障害への対応が必要となることがあります。
本コラムでは、クラウドシステムのうち財務報告で重要な役割を担う会計システムに焦点を当て、データバックアップの際の留意点を解説します。
まず、自社で利用しているクラウド会計システムの利用規約を確認しましょう。システムによってはSaaS企業がデータのバックアップを行っていない場合があります。また、SaaS企業がデータのバックアップを行っている場合でも、個別のユーザー企業が任意にバックアップのタイミングを指定できないことがあります。システムの利用規約を確認することで、「自社でデータのバックアップを行わないと障害発生時に会計システムのデータが消失して財務報告が困難になる」といったリスクに気が付くことがあります。
次に、自社でシステムのデータをどこまでバックアップする必要があるか、その範囲を考えましょう。システムマニュアルを読むとユーザーがエクスポート可能なデータを確認することができます。代表的なバックアップ対象は、リカバリーを行うために必要な「仕訳帳データ」です。それ以外にもシステム復旧後の経理業務を円滑に進めるため、勘定科目や取引先などの「マスタ」や、自動仕訳ルールなどの「テンプレート」をつくり込んでいる場合は、それらのバックアップも重要です。
さらに、バックアップを行うタイミングを検討しましょう。例えば、「仕訳帳データ」は月次決算後にバックアップするというように、手順としてルーティン化しても良いでしょう。また、重要な時期、例えば決算月などは決算整理前にもバックアップを行うことで、システム障害による財務報告の遅延を防げます。また、「マスタ」や「テンプレート」は変更を行うタイミングで最新版をバックアップすることが推奨されます。
最後に、バックアップデータの保存先を考えてみましょう。利便性を重視するなら、ユーザーがアクセス可能な共有フォルダーへの保存が選択肢となります。一方、安全性を考慮するなら、外部記憶装置など複数の媒体に保存することも検討しましょう。
クラウド会計システムは平時には非常に便利です。しかし、障害発生時においても円滑な財務報告を行うためには自社での体制整備が重要です。転ばぬ先の杖として、バックアップの仕組みを構築しておきましょう。
※当コラムの内容は私見であり、BBSの公式見解ではありません。
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