2026春闘を「変革の起点」とするために

2026年も春闘の報道を目にする季節になりました。連合は「定期昇給+ベースアップで5%以上、中小企業は6%以上、非正規は7%」を掲げ、実質賃金1%アップをめざしています。総務省の最新データによると、2025年の消費者物価指数(CPI)は前年比+3.0%前後で推移していることから、年平均は+3.3%くらいの着地となるでしょうか。また、生産年齢人口は減少しており構造的な人手不足が深刻化し、最低賃金の積極的な引き上げも継続していることから、企業は採用・定着のために報酬競争力を高めざるを得ない状況が年々強まっています。

そんな状況に対応すべく、近年の賃上げ率は5%前後の高水準が続き、2026年も同程度の水準が維持されるとの見方が強くなっています。しかしその根底には「今年も何とかやり過ごす」という発想が根強く、結果として制度の歪みが蓄積し、社員の不満を招いているということはないでしょうか?

準備不足のままの場当たり的な賃金改定は、採用難や離職増のリスクを高める要因にもなりかねませんので注意が必要です。当社への問い合わせでも、「給与の見通しへの不満を理由とした中堅社員の離職が後を絶たない」「現行制度では市場水準に追い付けない」という声が増えています。背景には、従来の年功型や一律昇給では市場競争力を維持できないという危機感や、社員の期待と市場水準の乖離、そして公平性への不満があるようです。

賃金制度は単なる給与テーブルではなく、企業の競争力を支える基盤であり、そこに集う社員へのメッセージです。春闘の議論を契機に、自社の報酬体系を見直し、社員への期待や、職務、スキル、成果をどう評価するかを再考することを強くお勧めします。
社員に何を求め、その成果や行動に対してどれだけの報酬を支払うのか。コンセプトを明確にした制度を構築して、広く社員に公開し、適切に運用することで、当初目論んだ育成や定着を実現する。つまり、賃金制度改革は「コスト対応」ではなく「人材戦略」です。世間水準や市場動向を踏まえた報酬体系の再構築は、採用力、定着率、エンゲージメントを高める投資であると捉えて、「制度の持続可能性」を軸にした対応が必要ではないでしょうか。

私たちは、そのプロセスを伴走型で支援します。春闘を「外部要因」として受け流すのではなく、「自社改革の起点」として捉え、今こそ行動を始めましょう。