人事制度構築支援
現在、多くの企業が物価高や人財獲得競争への対応として「賃上げ」に注力しています。2026年の春闘に向けて、賃上げに関するニュースを目にする機会がより多くなったと感じているのではないでしょうか。
定期昇給やベースアップは、今や優秀な人財を惹き付けるための「最低条件」となりつつあります。
しかし、他社と足並みを揃えるだけの賃上げは、もはや「他社との差別化」の要因ではなくなりつつあるようです。
人的資本経営を推進する企業が今、あえて目を向けるべきなのが、人事制度とより連動した「退職給付(退職金や企業年金)の拡充」という選択肢です。
大手銀行の調査によると、退職一時金や年金といった退職給付の引き上げを検討する企業が約27.3%にのぼることが明らかになりました。
なぜ今「賃上げ」ではなく「退職給付の拡充」に注目すべきなのでしょうか。ポイントを3つ挙げました。
賃上げは「今」の生活を潤す重要な施策ですが、効果は日常の消費に紛れやすく、時間とともにあたりまえのものとして埋没しがちです。
一方で、退職給付の拡充は、従業員が抱える「将来のキャリアや老後への不安」を取り除きます。「この会社でキャリアを積むことが、確かな資産形成に直結する」という実感は、目先の給与額を超えた深いエンゲージメントの醸成にもつながるのです。
退職給付を単なる「年功序列の後払い」から、等級や評価の結果が蓄積される「成果の総和」へと再定義することが、この施策の肝となります。
例えば等級が上がるごとに積立率を厚くする、あるいは高い評価を得た年のポイントを加算するといった設計です。これにより、毎年の自身のがんばりや成果が、数10年後の自分への「確実な資産」として積み上がっていくプロセスとして可視化されます。
月々の賃上げという「フロー」の報酬に、等級・評価に基づいた退職給付という「ストック」の報酬を掛け合わせることで、人事制度はより納得感のあるものへと進化します。
キャリアパスが多様化する現代、従業員が求めるのは「一つの会社に縛られること」ではなく「どこでも生きていける自信と備え」です。
手厚い退職給付の仕組みは、万が一の転機や、新たな挑戦(学び直しや起業など)が必要になった際の「人生のゆとり」となります。
「会社が自分の将来の選択肢を守ってくれている」という安心感こそが、現役世代の思い切った挑戦を後押しし、組織の活力を生む原動力となります。
「退職時の待遇を上げる」ことは、決して離職を推奨することではありません。入社から退職、そしてその後の人生までを地続きで捉え、従業員の人生全体に責任を持つという企業のメッセージとなります。
しかし、退職給付の拡充には、中長期的なキャッシュフローの設計や、現行の等級・評価制度との精微な整合性が欠かせません。単なる増額にとどまらない、企業独自の「人的資本経営計画」に基づいた制度設計が必要です。
「今」の給与で競うだけでなく、「未来」の価値で選ばれる企業へ。私たちは、人事制度の再構築から退職給付制度の最適化まで、企業の人的資本価値を最大化するパートナーとして伴走いたします。
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