最低限知っておきたいキャッシュフロー計算書の読み方(1)

損益計算書(以下P/L)や貸借対照表(以下B/S)については、見方も含め知見のある方が多い一方で、キャッシュフロー計算書(以下、C/S)は、どう見たら良いか分からないという声をコンサル現場でもよく聞きます。そこで、最低限知っておきたいC/Sの読み方として、今回はC/Sの指標や項目について、次回は会社の各段階別の分類について、説明したいと思います。

【C/Sとは】

一言で言えば、過去の資金繰りを示す書類です。一般に、P/LやB/Sは、見積の要素が入り、経営者の主観が入りやすく会計上操作しやすいと言えますが、C/Sは、実際の資金(=キャッシュ)の流れを事実として表し、見積要素が入りにくく会計上操作がしにくいと言われ、アナリストや会計士が注目して見る書類です。

① 営業活動によるキャッシュフロー(以下営業CF)

本業からどれだけのキャッシュを稼ぎ出しているかを見る指標です。営業CFは多いにこしたことはありませんし、通常、営業CFはプラスとなるべきですが、マイナスとなっている場合には、本業で苦戦していると考えられるため、留意が必要です。

② 投資活動によるキャッシュフローとは、(以下投資CF)

今後の会社の成長のため、どれだけ投資したかを見る指標です。将来のための設備投資やM&A等の支払額として優良な会社の投資CFはマイナスとなることが多いです。一方、貸付金の返済を受けた場合や保有する有価証券を売却した場合には、投資CFはプラスとなることが想定されます。

③ 財務活動によるキャッシュフロー(以下財務CF)

どの程度の資金調達をしたのか、あるいは資金返済したのかを見る指標です。借金を順調に返済している会社は、通常、この項目がマイナスとなります。一方、多額の銀行借入や、外部株主からの増資を受けた場合には、この項目がプラスとなります。

最後に、C/S上記載されていませんが、フリーキャッシュフロー(以下FC)という概念に注目です。FCとは営業CFと投資CFの合計を言い、自由に使える資金を示します。一般に投資CFは、本業からの営業CFがプラスとなっている範囲でまかなうのが理想的と言われ、FCがプラスとなって、はじめて借入金の返済や預金の増加が可能となります。財務健全性の観点からは、FCは多ければ多いほど望ましいです。ただし、業績の良好な会社が数年に一度の多額の設備投資を行う場合、投資CFのマイナスの値が大きくなり、それに伴ってFCの値がマイナスとなる場合もあり、注意が必要です。