最低限知っておきたいキャッシュフロー計算書の読み方(2)

最低限知っておきたいキャッシュフロー計算書(以下C/S)の読み方として、今回は一般的な会社の創業期から衰退期における各段階別キャッシュフロー(以下CF)の分類について説明します。細かい数字の分析より大局を掴む事が肝要なため、「木を見る前に森を見る」の言葉通り、以下の分類が有用です。なお、一過性の変動要因を除外するため、できれば数年間のC/Sの比較をすることが望ましいです。

創業期 成長期 成熟期 衰退期
営業CF
投資CF
財務CF

【創業期】

一般に創業期は、本業からのキャッシュ獲得がままならず、尚且つ、この時期は投資の方も積極的に進めていかなければならず、営業CFと投資CFはマイナスとなります。一方、これらのキャッシュを株式もしくは銀行借入等により資金調達をしなければならないことから、財務CFはプラスとなります。

【成長期】

一般に成長期は、事業が軌道に乗り、営業CFは本業からのキャッシュの獲得がプラスに転じますが、引き続き投資が必要なため、投資CFはマイナスとなります。一方、足りないキャッシュを銀行借入等によりまかなうため、財務CFはプラスとなります。順調に成長していると考えられますが、投資CFにつぎ込んでいる投資が成功するかどうかが次のステップに行けるかどうかの鍵となります。

【成熟期】

一般に成熟期は、本業でもうけたキャッシュを投資に回し、更に借金の返済を行っている理想的な状況と言え、営業CFがプラスとなり、投資CFと財務CFはマイナスとなります。

【衰退期】

一般に衰退期は、本業からのキャッシュが見込めなくなり、ここまでの借り入れを返済するため、営業CFと財務CFはマイナスとなります。一方、事業の撤退を検討し、過去に投資した固定資産の設備や投資資産の売却を行う事から投資CFはプラスとなります。

このように、CFのパターンというのは、企業が創業期→成長期→成熟期→衰退期に至るまで、どのステージに位置するかによって、大きく変わってくるため、これらの知識を考慮した上でC/Sを読み込むと、大局的な財務諸表の理解が進むと考えられます。
最後にC/Sについては、本業からの収入は潤沢か、どれだけ投資にキャッシュを回しているか、資金調達はうまくいっているか、どのステージに位置するのか等、その企業のおおよその経営状況を知ることができます。例外もあるので必ずしもその通りになるわけではありませんが、ある程度の参考にすることができるのではないでしょうか。