相対評価は時代に取り残される

  • 人事評価のやり方として、絶対評価と相対評価があります。絶対評価とは基準と比べて評価すること、相対評価とは人と人を比べて評価することを意味します。
    例えば、同じ等級の社員が何名かいたとして、全員がその等級の期待レベルを超える良い成果を上げたとします。
    絶対評価では、全員が「等級期待レベル」という基準を超えていますので、全員がS評価やA評価といった高い評価になります。
    これに対して、相対評価では、全員が良い成果を上げていても、その中で優劣をつけることになります。そのため、等級期待レベルを超える成果を出したにもかかわらずC評価・D評価といった低い評価を受ける社員も出てくることになります。
  • 皆さんの会社の人事評価は絶対評価でしょうか?それとも相対評価でしょうか?相対評価の会社は要注意です。
    「同一労働同一賃金」「制約社員化に伴う働き方の多様化」「コロナ禍を契機としたテレワークの普及」など、近年企業を取り巻く諸状況は、「役割・成果に応じて処遇する人事制度」を志向する流れを作り出しています。
    役割・成果ベースの発想からすれば、その等級での期待レベルを超える成果を出した場合には、(他の社員の成果がどうであったかは関係なく)高く評価され、かつ、高い評価に見合った処遇にならないと合理的な説明ができず納得感もありません。
    役割・成果ベースの流れが進むにつれ、絶対評価が主流になることでしょう。
  • 相対評価を行っている会社は、近い将来、
    •  絶対評価の評価制度への改定
    •  これに伴う評価者の評価スキルの向上施策
    •  絶対評価の評価制度下で、賃金の総額原資をコントロールする賃金制度の構築
    など、様々な人事制度上の課題に直面するものと思われます。
    時代に取り残されないよう、早めの見直しをお勧めします。