• 人事制度の構築を支援していると、「色んなことを決めても、うちの社員はルールを守らない」というような声を聞くことがあります。新型コロナウイルス感染症対策で在宅勤務や時差出勤が増え、働き方改革にも繋げようという企業も多いと思いますが、働き方の選択肢が増え、社員の裁量が拡大する中で、最低限決められたルールも守れないとなると統制がとれなくなります。
  • ルールを守らせるための基本ステップは「①ルールを周知→②守られているかをチェック→③厳守されていない場合に指導→④ルールの見直し」です。当たり前にすべきことではありますが、ルールを作るだけで終わってしまっている企業が多くあります。また、それぞれのステップが効果的にできていないケースも散見されます。効果的に行うためには、社員・上長・管理部門それぞれの立場を考慮する必要があります。
  • まずは「①ルールを周知」です。この周知方法は守らせたいルールによって変えるべきです。メールだけの全社周知で済ませる場合もありますが、特に厳守が必要なルールである場合、メールで周知しているが社員が守らないルールである場合は、上長から社員への周知が有効となります。全社メールの場合、自分に関係する内容かを認識できず内容確認を怠る社員が一定数いることは当然と考えた方が良いでしょう。詳細な内容はメールでも良いですが、「あなたに関係のある内容ですよ」と伝える役割は上長に担ってもらう必要があります。
  • つぎに「②ルールが守られているかをチェック」「③ルールが厳守されていない場合に指導」ですが、これも上長・管理部門それぞれがどのようなチェック・指導を行うかを予め決めておきましょう。チェックは定期的に行わなければ効果が薄れます。ルール定着前後でチェック頻度を変えることは構いませんが、継続できるよう負荷のかからないチェックに留めることも重要です。ルールを守れないことにも理由があります。その多くが、認識不足(知らなかった・守る必要があると思っていなかった)です。これについては周知方法を変える・チェック&指導によって「守るべきルールであることを認識させる」必要があります。ただ一部に業務実態に合わないためにルールが守れないケースもあります。その場合は「④ルールの見直し」を柔軟に行いましょう。
  • いずれも管理部門から周知されるルールを守らないといけない、と社員が思うことで、各ステップの負荷は軽くなります。その為には、守るべき目的を社員に示し、ルール厳守を管理部門で徹底する必要があります。経理の締切は守るのに、人事の締切は守られないということはないでしょうか?社員の怠慢だと嘆く前に、ルールを守らせるため仕組みができているかを見直してみてください。