コロナ禍における人事考課『中間項』 ~明確に評価方法を伝えましょう~

  • 上期の評価において"新型コロナウィルス感染症"をどう扱うかについて苦労した企業も多かったのではないかと推測します。
  • 『中間項』という単語をご存じでしょうか。人事制度において、被評価者の行動の如何に関わらず、成果を左右する要因のことです。例えば、景気の影響で売上金額が伸び悩んだり、上司の指示が適切でなく言われたように活動しても新規顧客が増やせなかったり、体調不良でミスが多かったりすることもあると思います。実際の評価においては、「売上金額が伸び悩んだ」「新規顧客が増やせなかった」「ミスが多かった」という事実を評価します。
  • 『中間項』には以下の3種類があり、"新型コロナウィルス感染症"は外部条件に該当します。
    【外部条件】 景気動向、気象条件、消費行動 など
    【内部条件】 組織風土、上司の指示・指導、担当エリア ・商品の有利不利 など
    【本人条件】 健康状態、家庭環境、スランプ など
  • <成果評価>新型コロナウィルス感染症の影響を受けて企業・部門が目標を下方修正するなら、それが新たな目標となります。目標修正の有無にかかわらず、オフィシャルな目標に対して評価を行います。目標評価の際に評価者が中間項を勘案した評価を行い、企業が経営的な判断を支給月数や支給係数などに反映したのでは、重複してしまい、評価の妥当性が損なわれてしまいます。
  • <行動評価>新型コロナウィルス感染症への対応をしてくれたからと行動評価が甘くなることもNGです。どの企業においてもこのような状況における対応は当然のこととなりますので、「よく対応してくれた」と行動評価を甘くすることも適切ではありません。成果評価が厳しいことを、行動評価を甘くして補うことは、評価の公正さを阻害します。
  • いずれにしても『中間項』は評価において勘案(斟酌)してはならないというのが基本原則です。
  • 人事部門は、評価の前に「新型コロナウィルス感染症を勘案することなく、ありのままの事実に基づいて評価をしてください。経営的にどのように扱うかは経営陣が判断します。」ということを評価者・被評価者に明確に伝えることが必要です。来春の下期の評価においては、評価者・被評価者に明確に評価方法を伝えるようにしましょう。