キャリア採用者が即戦力として活躍するためには

少子高齢化を背景に人財不足が続くなか、転職市場では売り手市場が続いています。
人生100年時代を見据えて、中高年にまで転職層は広がり、ある人材紹介会社の調査結果によれば、50代の登録者数はこの10年間で3倍に増加。大手企業では役職定年などを迎えた方も、経営企画、新規事業、人事など分野を問わず、マネージャーとしてチームの成果を上げられる人は、中堅・中小企業での需要が高いそうです。
さて、皆様の会社でもキャリア採用者は増加傾向にあるかと思いますが、採用後にこれまでの経験を十分に活かして活躍できているでしょうか?
2020年にパーソルキャリア(株)がキャリア入社で転職後3カ月から1年以内の人を対象に実施した調査結果によると、転職後「孤独を感じる」と回答した方の割合が6割近い結果となったそうです。「即戦力としてすぐに結果を出さないといけない」というプレッシャーを感じるものの、転職先での人間関係や社風に慣れることができず、苦しんでいる実態が浮かび上がりました。

キャリア採用の目的として、即戦力としての活躍があります。豊富な経験を活かし、会社や部門の業績に貢献することや、これまで習得してきた知識や他社でのノウハウを通じてメンバーのスキルアップをすることなど、さまざまな役割が期待されますが、これら求められる能力を存分に発揮するためには何が重要かを考察してみました。

  1. 人間関係をサポートする

    多くのキャリア採用者が転職先で人間関係を構築できず、その実力を発揮できずにいます。
    配属先の上司が選考時から面接などを通じて積極的に関与し、入社後も部門内のミーティングや1on1の面談を定期的・計画的に設定するなど、チームの一員として迎え入れ、人間関係の構築をフォローすることが大切です。入社後まずは既存メンバーとのペアやチームで仕事を進めてもらうことなども有効でしょう。

  2. 役割に関するすり合わせ

    次に重要なのは、入社後に期待される役割について十分に本人とすり合わせを行うことです。
    部門の方針や計画を十分に伝え、本人に期待する役割を十分に説明したうえで、業務改善、メンバーの指導など、どんな場面でこれまでの経験が活かせるか、本人と話し合いながら活躍のイメージを具体化することが大切です。
    期待する目標も、いきなり即戦力としてのハードルを求めるのではなく、話し合いの結果に応じて設定することで安心感を与えることができます。

  3. 力量の把握

    最後に、実際の力量の把握です。経験や知識が豊富であったとしても、それらを業務でどのように発揮できるかを把握する必要がありますが、経験や知識は見えるものではありません。適切に本人の力量を把握するには、それにふさわしい仕事を与え、プロセスや結果を見る必要があります。成果物のレビューや週次での報告を通じて、早期に本人の力量や強み・弱みをつかみ、強みを活かす具体的なイメージを伝えたり、不十分な点をいかに補っていくのかを本人と話し合ったりすることが大切だと思います。

皆様の会社でもキャリア採用の比率は高まりつつあるのではないでしょうか?
しかし、キャリア採用者がその貴重な経験を自社のなかで発揮し、業績につなげるためには、プロパー社員やキャリア社員にかかわらず、期待される役割に基づいて評価し処遇することのできる人事制度がベースとして整備されていることが必須となります。
私たちBBSは、キャリア採用者が活躍することのできる人財マネジメント基盤の整備、そして定着化を支援しています。