知識付与型研修の限界を超えるには?

「研修を実施しても、現場での変化が感じられない」。そう感じたことはありませんか?
今回は、従来の「知識を教える」研修の限界と、そこから一歩進めるヒントを紹介します。

従来の研修は、講義形式で知識をインプットする「知識伝達型」が主流でした。しかし近年、「教える=伝わる」という設計そのものが見直されています。なぜなら、この形式では受講者が受け身になりやすく、学びが行動や成果につながらないからです。

実際、「聞いた」「見た」だけでは記憶定着率は20%程度という調査結果もあります(ラーニングピラミッドより)。一方で、「体験した時」は75%、「人に教えた時」は90%に達します。いかに自ら動くことが学びに直結するかがわかります。
※学習方法・学習内容の進行率の関係をピラミッド型に視覚化したモデル。アメリカ国立訓練研究所(NTL)が発表。

こうした背景から、教育界では「知識伝達型」から「アクティブラーニング型」への転換が求められています。例えば主体的な学びを促す手法として、シンク・ペア・シェア(Think・Pair・Share)などが活用されており、これは(1)問いを提示、(2)一人で考える、(3)ペアで共有、というシンプルな流れで構成されます。同様の考え方として、プロジェクト型学習(PBL)や課題解決型学習(Problem-Based Learning)が学校などに徐々に広がりつつあります。

企業研修も例外ではありません。本来研修の目的は「教えること」ではなく、「受講者が学び、変化すること」です。最終的には、職場で成果に結び付く行動がとれるようになることがめざされるべきです。

そのために研修開発者や講師には、以下のような役割と働き掛けが重要となります。

  • ルールや目標を明確に提示し受講者にそれらを意識してもらう
  • コンテンツよりプロセス(考える・対話する・体験する)を重視する
  • 安心して意見交換できる場をつくる
  • 質問中心の働き掛けやリフレクションを促す

一つの仕掛けで、学びの質は大きく変わります。こうした仕掛けは、「一方的に教える」のではなく、「考えさせてから伝える」構成によって、学びを「自分ごと化」できる点がカギとなっています。そして、講義中の小まめな双方向(受講者と講師、受講者同士)によるやりとりの設計が、主体的な学びに不可欠となってきます。

私たちBBSでは、知識を「与える・伝える」だけでなく、受講者の「気付きと行動につながる」研修設計・人事制度定着を大切にしています。「聞いて終わり」から、「現場で生きる学び」に一緒に移行していきましょう。