労働時間短縮時代に求められる評価軸と業務内容の「見える化」

2026年1月の日経新聞によれば、2024年の1人当たり労働時間は1,661.5時間となり、コロナ禍を除けば過去最も短い水準となりました。働き方改革の進展や人手不足を背景に、労働時間の短縮は今後も続くと見られています。残業削減や業務効率化への取り組みは、多くの企業にとってすでに日常的なテーマとなっています。

一方で、労働時間が短くなったことで「働きやすくなった」「社員の納得感が高まった」と実感できている企業は、必ずしも多くないのではないでしょうか。時間は減ったものの、評価への不満や仕事の進めにくさが依然として残っているという声も、現場では少なくありません。

同じく2026年1月の日経新聞では、外国籍人財の増加を背景に、評価軸や業務内容の「見える化」が重要になっていることが報じられていました。言語や文化の異なる人財が働く職場では、これまで暗黙の了解で成り立ってきた業務の進め方や評価の考え方が通用しにくくなります。そのため「どの業務を任せているのか」「どこまでできれば評価されるのか」を、あらかじめ明確に示す必要性が高まっています。

この2つの記事を人事制度の視点で捉えると、共通する課題が浮かび上がります。労働時間が短くなるなかで、評価や業務の基準が曖昧なままであれば、社員の納得感も生産性も高まりにくいという点です。

評価基準や業務内容が見えない職場では、評価の理由が本人に十分伝わらず、不公平感や不信感を生みやすくなります。一方で評価の観点や業務内容を言語化し、行動例や達成水準を共有できていれば、国籍や年齢を問わず、社員は自分に求められている役割を理解しやすくなります。

評価軸や業務内容の見える化は、単に説明をわかりやすくするための取り組みではありません。業務の属人化を防ぎ、役割分担を整理し、育成や引き継ぎを円滑に進めるための重要な土台です。とくに人手に余裕のない中小企業にとっては、誰かが抜けても業務が回る体制を整え、次の人財を育てていくために欠かせない基盤といえるでしょう。

労働時間が短くなる時代に求められるのは、「長時間働いてもらうこと」ではなく、「限られた時間のなかで役割を果たし成果を発揮してもらうこと」です。そのためにも、評価軸や業務内容を見える形で整理し、社員と共有できているかを、改めて見直すことが重要ではないでしょうか。(先の記事を引けば、)外国籍人財の増加が、まさにその必要性を顕在化させたわけです。自社の人事制度が社員の納得感につながっているかを再点検してみてはいかがでしょうか。