評価の納得性・公平性を担保することの重要性と入口対策

  • 評価を実施するにあたって、評価者が最も頭を悩ますところは、被評価者本人へのフィードバックの納得性と他部門などとの公平性を勘案したうえでの評価実施であると思います。これらを担保するために事業や会社単位で評価結果をチェックし、整合性を取るために評価を調整することがしばしば見られますが、これらに掛かる労力は非常に膨大なものと思われます。
  • この納得性・公平性を担保するための評価実施と、出口対策に掛かる労力を少しでも減らすためにまず考え直すべきことは、期初の目標設定にあります。
  • 目標設定の際には、事業の独自性を勘案するあまり、全社的な評価の公平性を欠く結果に陥りがちです。これを防ぐには、横串機能の部門(人事部など)が各部門との調整役となって、目標項目を整備し、各項目の達成基準(善し悪しの基準)を全社的な合意を持って決めていくことが重要になります。これを行うことで、まずは公平性を担保できると思われます。
  • 次にフィードバックの納得性ですが、先述した全社的に合意が得られた項目ごとに達成基準に従って評価を行うことが重要になります。何をよりどころとして評価を行っているか、またどのような実績(事実情報)と照らしているか、を明確化することで、被評価者もどこに落ち度があり、どうすることで評価が良くなるのか、などが明瞭になり、納得感を得られやすくなります。
  • ただし、外部環境の変化やその要因によって、期初に立てた目標設定内容が評価実施時期にはふさわしくなくなることもあります。これを想定し、あらかじめ、期中の一定期間内であれば目標設定内容の変更が可能であるようにルールを設けておき、それに則って、評価者は期初に立てた被評価者の目標設定内容が妥当かどうか、モニタリングとコントロールをしなければならないことを評価者に教育することが重要です。そうすることで実態との乖離による不公平感の発生を未然に防ぐことができるようになります。
  • 出口調整で評価の納得性・公平性を担保することは可能ではありますが、それに掛かる労力は期末時期の多忙性を勘案すると理想的な姿とはいえません。したがって、上記のとおり、入口時点の目標設定を行う際に、しっかりと全社単位で調整を行うことが対策となりえます。評価結果の調整や目標設定の時期が近づいてきましたので、上記の点で納得性・公平性が自社では担保できているかどうか、ぜひ一度見直してみてください。