電子帳簿保存法改正と今後の取り組み方

帳簿、決算・取引書類保存の電子化で業務効率の向上へ ~インボイス制度への効率的な対応~

1. はじめに

令和3年度も電子帳簿保存法が改正されました。ここでは「スキャナ保存」と「電子取引の保存」に関する改正内容をご説明し、今後のペーパーレス化について検討したいと思います。

2. スキャナ保存

2-1. 法改正概要

スキャナ保存の改正内容には二面あります。一面が緩和、もう一面が罰則の強化です。この両面を加味すると、電子帳簿保存法の要求水準は変わっておらず、水準の求められ方が変わったと言えます。

2-2. 要件緩和

まずは緩和についてご説明します。
例えば、タイムスタンプの付与期間が、従来は「おおむね3営業日以内」という規定がありましたが、これが「最長約2月以内」に変わりました。また、書類の受領者がスキャンする際に、従来は自己署名が要求されていましたが、新制度では不要になりました。

2-3. 適正保存担保のための措置について

次に、適正保存担保のための措置、つまり罰則についてご説明します。
不正の方法の一例として、同じ領収書を使って複数の人が経費精算をするといった「領収書の使い回し」が考えられますが、こうした使い回しを防止するなどのために、タイムスタンプの付与期間が短く設けられていました。
しかし、企業は自主的に、領収書の使い回しといった不正の防止方法を検討する必要が生まれたと言えます。例えば、簡単な仕組みでは、同じ領収書、つまり同じ領収年月日・取引先・金額の領収書があれば、経費精算システムからアラートを出すといったことも考えられます。このように、電子帳簿保存法が求める「結果」を実現するために、上手にITを活用して、業務が効率化する可能性が拡大したと言えます。

2-4. まとめ

スキャナ保存の制度は緩和された側面がありますが、一方で、罰則規定を設けることにより、企業の到達すべきゴールが明確化されたと言えます。緩和されたからと言って何もしなくても良いわけではなく、各企業は自主的に計画策定を行い、業務手順などを検討する必要が生まれたと言えます。
言い換えれば、ペーパーレス業務の取り組み方により、企業の業務効率化に大きな差異が生まれ得る余地が大きくなった制度改正である、と言えるかと思います。

3. 電子取引

3-1. 電子取引の改正概要

電子取引については、保存形態において、従来は、紙に印刷して保存することが認められていましたが、新制度では紙保存が禁止され、電子データで授受したものは電子データでの保存が義務化されました。検索できる状態で電子保存することが義務化されました。

3-2. ITによる文書管理の重要性の増大

従来は、紙で授受する書類と、電子取引のデータも紙印刷することで、紙により取引情報に関する一式の書類を管理できていました。しかし、電子取引について電子データでの保存が義務化されたことに加え、昨今のペーパーレス化が進展している状況を踏まえると、これからは、取引情報は書類であってもデータであっても、電子データの状態で一式を管理するようになると思われます。
ペーパーレスの進展に伴い、会社の取引データを一元管理できるような仕組みづくりが求められていると言えます。

今回の税制改正を機に、ペーパーレス化を進め、業務の効率化の一層の進展を図られてはいかがでしょうか?