勤務間インターバル制度の導入について

  • 2019年4月に努力義務化された勤務間インターバル制度ですが、導入率は4.2%(令和2年就労条件総合調査)と低迷しています。
  • しかし、今年7月に改定「過労死等防止対策大綱」が閣議決定され、勤務間インターバルを導入している企業の割合を従来の10%から15%に引き上げる目標が示されました。政府はとくに導入率が低い中小企業向けの取り組みを強化し目標達成をめざす、とのことですので、今後、勤務間インターバル制度について、行政からの監督・指導が強化される可能性があります。
  • また、厚労省は9月14日、労災認定基準を20年ぶりに改正しました。これにより、残業時間が過労死ラインに達していなくても、勤務間インターバル時間が短いなど労働時間以外の負荷があれば労災認定されやすくなります。
  • 努力義務にとどまることや導入率の低さから、これまで「優先度:低」として勤務間インターバル制度の検討を見送ってきた企業も多いと思いますが、近時のトピックスを見ると優先度はやや上がったといえそうです。導入要否を検討してみるタイミングかもしれません。
  • その際に注意すべきは、「原因に手を付けず結果だけを強制する施策は奏功しない」ということです。例えば、時間外労働の上限規制や有給休暇の取得義務化(2019年4月労基法改正)についても然りです。自社における長時間労働や有給休暇消化率の低迷の根本原因に手を付けないままで、法改正を機に、残業時間の削減や有給取得日数の結果だけを強制する施策を打っても、社員側からすれば「無理を言われても困る」となってしまいます。
  • 労働時間規制に正しく向き合うためには、
    ・労働時間管理の結果を定期的に検証し
    ・長時間労働やサービス残業など労働時間管理のうえでの問題の有無を把握し
    ・問題については、その原因を特定し
    ・原因を除去するための解決策を策定・実行し
    ・解決策の効果を検証する
    という問題解決サイクルとPDCAサイクルを回すことが必要になります。
  • 皆さんは根本療法で労働時間規制に向き合っていますか?勤務間インターバル制度のトピックスが、労働時間管理改善の契機になればと思います。