多様な人財活躍の必要性 ~現役世代の負担増加抑制の観点から~
公開日:
- 今年(2021年)の敬老の日に全人口に占める65歳以上の人の割合が29.1%となったことが発表されました。ちなみに64歳から15歳の生産年齢人口は59.5%、14歳以下の若年人口は12.1%です。また、年金や医療費などの社会保障関係費(民間の年金基金や健康保険組合の支出を含む)は、118兆円に達する見込みで、国家予算の106兆円を超えています。
- 年齢層別の人口比率としては、高齢者:働き手:若年者=3:6:1であり、6人で10人分の生活を支えていることになります。ちなみに30年前は1:7:2で社会保障関係費は47兆円と現在の半分以下でしたから、高齢者の比率も社会保障費も大きく増加したことになります。一方で、出生率は30年前の1.54から昨年は1.36に低下しており、人口維持に必要な2.1を下回り、若年層の減少による総人口減少が継続するものと思われます。
- 数字の話ばかりになりましたが、確認したかったことは、現状の少子高齢化は深刻なものであり、改善のめどは立っていないということです。また、65歳以上の高齢者の雇用問題は、高齢者自身の生活の問題にとどまらず、むしろ現役世代の税金や社会保険料(年金・健康保険料)の負担増にどう対応するかという問題なのです。
- ほぼ同じ時期に発表された新聞の調査によると、65歳以上の雇用取り組みを行っている企業は30%と3年前の同じ調査に比べ5%の増加にとどまっています。コロナ禍の影響などもあり、なかなか具体的な取り組みが進んでいないようです。なお、現役世代の負担増を抑えるという意味では、高齢者に限らず障がい者や子育て世代など、領域や時間を工夫すれば十分働ける方々の活用も選択肢となります。これらの状況が各企業でどうなっているかについても、大変気になるところです。
- いずれにしても、これらの多様な人財の活用は、遅かれ早かれ取り組まなければならない課題です。そして、そのために企業として必要となるのは、多様な人財を適切にマネジメントできる「人財マネジメント基盤」を整えていくことです。一方、働く側にとっては、新たな環境で新しい仕事に取り組む意欲と能力を培い、維持しておくことが必要です。
- 年収のうち、租税と社会保障関係費の負担割合を合計した「国民負担率」という指標があります。ビジネスパーソンでいうと給与から天引きされる金額の割合で、令和3年度の見通しは44.3%だそうです。給料の半分近くがいわば強制的に天引きされてしまうと、働く意欲にも影響しそうです。多様な人財活用は、人事部門や多様な形態で働く人だけでなく、働く者全体で進めていく必要がありそうです。
- 地方企業の課題に人事制度で何ができるか
- 新入社員の育成担当者のサポート体制はできていますか
- パーパス経営と人事制度
- 賃上げをきっかけに人財との向き合い方を考える
- 年次有給休暇取得率が初の6割超え 事前調整と信頼関係を意識しよう
- 人的資本経営を推進する基盤を整備しよう
- 中途採用を成功させるための現場の関与
- 日本の労働時間の現状とさらなる時短の必要性
- 労働条件明示事項の追加について
- 女性活躍を推進する組織・仕事の見直しについて
- 属人給の見直しを検討しよう
- 新卒社員ジョブ型雇用を考える
- マネジメントを成功させるカギ ~キャリア形成に必要な2つのありたい姿~
- 在宅手当が残業代の算定対象外に ~手取り減への対応について~
- リバースメンタリングをご存じですか?
- 今の採用担当者に求められる能力
- 2023年3月期における人的資本開示の傾向
- 男性の育児休業取得率について考える
- 新入社員の配属希望とジョブ型雇用
- 自社の評価制度を検証しましょう
- 重要性を増す「男性育休の取得状況」。充実を図るための施策を講じよう
- 専門性と複線型人事制度
- 人的資本情報開示の現状と今後の課題
- 同一労働同一賃金 名古屋自動車学校事件最高裁判決を受けて
- 人的資本経営の導入―上場・未上場にかかわらず企業の永続的発展に向けて
- 労働移動の円滑化と退職金制度
- 「日本人らしさ」に合った人事制度とは
- 自己啓発は人事評価の対象になるか? ~評価項目は社員へのメッセージ~
- 賃上げ率・賃上げ額の定義とは?
- 中途採用者が活躍できる会社を考える
- 賃上げとセットで人事制度の見直しを
- OJTを機能させるために、人事部がやるべきこととは
- 人事制度改定を成功させるポイントを、失敗事例から学ぶ
- 社内副業のすすめ
- 人事制度の健康診断―評価制度運用アンケートを実施しよう―
- 人事評価における面接や1on1の実施目的と実施のコツ
- 社員の健康から人事制度のあり方について考える
- 人的資本の減耗率は毎年40%? 研修内容を実践でフォローする仕組みを構築しよう
- Z世代の働く価値観から、今後の企業成長について考える
- 賃金相場を報酬に反映するうえで注意すべきポイント
- 来春の給与改定に向けて(定昇率、インフレ手当、賃金水準向上の整理が必要です)
- 管理監督者の時短勤務?
- 「アルムナイ採用」について考える
- 高齢社員への研修が欠落していませんか?
- 契約社員の無期転換ルール強化、対応のポイントを考える
- 評価エラーは撲滅できるか~人が人を評価する本質~
- マネジメント、そして管理職への登用要件を考える
- 男女間賃金格差の開示義務化を受けて
- Withコロナ時代の研修のあり方 ―仕事も研修もオンライン―
- 今、中間点で ―業績評価目標と進捗の確認を―
- 労働時間制度の採否は費用対効果で考えよう
- 人事業務をアウトソーシングする場合のポイント
- 離職者増加 防止策として実施すべきこと
- 目標設定プロセスを考える
- 中小企業の月60時間超残業の割増率引き上げまで残り1年
- 人的資本に関する開示が進む、企業に求められる対応は
- 2022年度の新入社員 ~インターンシップ、説明会、面接、すべてがWebで行われた世代~
- パワハラを未然に防ぐ、風通しの良い職場づくりを考えよう
- 育児・介護休業法改正 1年未満勤務者についての留意点
- 人事部門のDXに必要な人財
- 急いで、年休 ~年次有給休暇取得義務5日~
- 出社すればコミュニケーションはとれる?
- 2022年―春闘は慎重に―
- テレワーク、続けるべきか、やめるのか
- ジョブ型人事制度における処遇制度のポイント
- ESG経営に向け評価制度は機能しますか?
- 降格降給による賃金減額は1割まで?
- 多様な人財活躍の必要性 ~現役世代の負担増加抑制の観点から~
- 勤務間インターバル制度の導入について
- コロナ禍を、女性管理職登用の契機に
- 評価の納得性・公平性を担保することの重要性と入口対策
- 雇用流動化 若者けん引 ~3年内離職率、10年で最高~
- 「ジョブ型」への移行を進める前に考えるべきこと
- SDGsの現在地〜「SDGsウォッシュ」を知っていますか〜
- テレワーク下での評価制度の課題に対して「やってはいけない」こと
- ニューノーマルに対応してリーダーシップ行動を変えよう
- 給与改定や賞与における出勤率要件について考察する
- 降格を機能させる人事制度基盤を整備しよう
- 若年層へ進む実力主義~評価の納得性向上へ努力しよう~
- 全社的な評価スキルレベルアップの必要性
- 男性育休で胸を張れる会社を目指せ
- 定年延長、定年再雇用を柔軟に考えよう~選択可能な柔軟な働き方の提供へ~
- 「時間の切り売り」意識の社員は窮する
- 離れていてもできる行動評価
- 新たな人財マネジメントのルールに労使で向き合おう
- SDGsを考察する
- 65歳以降の雇用対象者選別のために
- 副業拡大に求められる企業側・働く側の対応
- コロナ禍における人事考課『中間項』 ~明確に評価方法を伝えましょう~
- 同一労働同一賃金の最高裁判決(大阪医科薬科大事件・メトロコマース事件・日本郵便事件)を受けて
- ”70歳までの雇用確保制度” 人事部門に求められること
- ニューノーマル下における人財マネジメント基盤を考えよう
- 脱ハンコからスタートする人事業務の効率化
- ”ジョブ型雇用のゆくえ”を考える
- 同一労働同一賃金の検討、正しく進めていますか?
- 会社のルールを守らせるためには
- 退職金制度の見直しを検討しよう
- 「転勤」を再考する
- 相対評価は時代に取り残される
- パワハラ防止法施行 これを機にマネジメント基盤の強化を
- テレワーク から コロナ後・その先 を考える
- コロナ禍で人事制度の運用を止めるな
- テレワークでの事業場外みなし労働時間制を検討してみよう
著者プロフィール
人事コンサルタント(人事コンサルティング事業部)(株)ビジネスブレイン太田昭和
人事コンサルティング事業部
BBSの人事コンサルティング事業部では新人事制度の方針立案から設計、そして新制度の運用・定着化まで、お客様の「働き方改革」の推進をトータルにサポートしています。