ジョブ型人事制度における処遇制度のポイント

ジョブ型人事制度への移行を検討する企業が増えてきています。
ジョブ型人事制度の特長は、職務内容や役割に応じてその成果や行動が評価され、賃金が決まるという仕組みにあります。期待される役割レベルや職務内容が異なれば賃金も異なることが前提となり、コロナ禍を契機に広がったテレワークなど自律的な働き方が求められるなかで、改めて年功的な人事制度からの見直しを考える企業が増加しているのです。

ジョブ型への人事制度の切り替えを考える場合には、人財を活用する仕組みとして、昇格・降格や役職への登用、役職の交代時のルールを十分に検討する必要があります。
多くの企業は、依然として年功的な昇格ルールや、部署間の異動やローテーションの慣習を残していますが、これは職務や役割をあらかじめ明確化しておくジョブ型人事制度とはアンマッチとなります。

ジョブ型人事制度における処遇制度見直しのポイントは3つあります。
一つ目は、卒業方式から入学方式に切り替えることです。中途採用者を例に取ると、どんな経験を持つ社員であっても、新卒社員と同様に育成段階の等級から格付けされ、経験を積み昇格していく「社内卒業」方式を採用する企業が未だにあります。ジョブをベースとした等級制度のもとでは、社内から昇格する人にも、キャリアで入社しその等級に格付けされる人にも同じように、求められる登用の要件を明らかにし、その要件を満たす人財を昇格させたり格付けしたりする入学方式に改める必要があります。

2つ目は、処遇・登用ルールの公開です。ジョブ型人事制度は、上がるだけでなく下がることも起こりうる仕組みといえます。評価による降格もあれば、役職の異動にともなって降給するケースも考えられます。また、本人が希望する働き方を選択した場合でも、処遇条件のアップダウンをともなう等級やコースが変更となる仕組みが必要となります。これらさまざまなケースを想定して、異動時の対応をスムーズに行えるよう処遇・登用ルールを明確化・公開することが必要です。

3つ目は、キャリアビジョンを示すことです。ジョブ型人事制度は勤続年数などで全員が課長までは昇進できる仕組みではありません。現場のリーダークラスでキャリアを終える、そうした働き方を望む人もいれば、30歳前後でもマネージャーとして活躍できるキャリアを求める人もいるでしょう。社員にどのようなキャリアや働き方が提供できるのかを示せるようにしておくことが重要となります。

ジョブ型人事制度へ切り替えるか否かは日本企業の喫緊の課題ではありますが、いずれにしても、人事制度には企業の継続的な成長と社員のキャリア実現という中長期的な視点が重要です。人財の成長を促進し、優秀な人財を定着化させ、中長期的に企業の成長を支える人財として活躍してもらうために、処遇の考え方・ルールを併せて検討することをお勧めします。