人事業務をアウトソーシングする場合のポイント

「これは人事がやるべき仕事なのか?」。これは、人事業務に携わる方であれば、一度は直面したことのある問いではないでしょうか?

ある調査研究所の集計によると、国内のアウトソーシング(外部委託)市場規模は、2019年に約4.3兆円であったものが2024年には4.8兆円と、毎年約1,000億円(約2%)ずつ伸びる予測となっており、業務のアウトソーシングは今やトレンドといえそうです。

さらに、BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)という、企業の業務プロセスを一括して外部委託する方法も活用されており、これを活用すれば人事部のすべての業務を丸ごと外部委託することも可能で、社内に人事部を設置する必要もなくなります。

このような手法を採用する目的は、主に二つあると考えられます。

  • (1)自社のコアコンピタンスが発揮でき、競争優位にある事業(コア事業)に経営資源を集中させる。
  • (2)コスト削減に向けて、人事など高いスキルと最新のノウハウが必要なバックオフィス業務については、高品質なサービスを提供する専門企業に委ねる。

アウトソーシングの活用については、どのような業務を対象にすべきかが課題となりますが、上記のような目的に照らして考えますと、(1)コア事業を支える経営資源の拡充につながる業務か否か、(2)コア事業と関係が薄く、かつ最新の高度な専門性が求められる業務か否か、が判断基準になると考えられます。

こう考えると、人事関係業務を含むバックオフィス業務は、全般的にアウトソーシングの検討対象となる可能性が高いと考えられます。

ただし、バックオフィス業務は「顧客」が社員であることから、難しいケースがあります。例えば、「人事関連サービスは人事部の社員から受けるべき」という考えが強く、アウトソーシングに対する抵抗感がある企業は多いでしょうし、社内合意を得ることは難しいと思われます。とりわけ、他社に例を見ない特色ある人事制度・社内サービスを行っている場合は、アウトソーシングによる合理化メリットが得られにくい場合があります。

しかし、このような場合にも、特色ある人事サービスを社員が継続していく場合と、アウトソーシングを活用した場合のコストメリットを比較したうえで、合理的に判断されるべきであると考えます。

一方、そうでない場合であれば、BPOやアウトソーシングを積極的に取り入れることにより、人事関係業務を含むバックオフィス業務について、外部環境にスピーディーに対応した専門性の高い業務を実現しつつ、社内業務の削減・効率化とコストダウンを図ることができますので、一度ご検討いただければと思います。