自己啓発は人事評価の対象になるか? ~評価項目は社員へのメッセージ~

リスキリングやキャリア自律が謳われる昨今、社員の皆さんの自己啓発への意識も高まっているのではないでしょうか。
厚生労働省が毎年実施している「能力開発基本調査」によると、自己啓発を実施した個人の割合は、令和元年度(2019年度)調査で29.8%、令和2年度(2020年度)32.2%、令和3年度(2021年度)36.0%となっています。

自己啓発で社員の知識やスキルが向上することは、会社にとってももちろん望ましいことです。では、自己啓発に取り組んだことは、人事評価の対象になるでしょうか?

一般的には、自己啓発の結果、何ができるようになり、業務にどう活かしたかが評価対象です。自己啓発は、業務指示ではなく個人の意思で、業務時間外に行うものですから、「取り組んだこと」そのものは評価対象とはなりません。
ただし、社員の自己啓発を促進するために、「自己啓発目標」を設定して、その活動自体を評価する企業もあります。

また、同じような例で、

  • 社内の協力体制を強化するために、「担当外の業務や他部署の支援」を加点対象にする
  • イノベーションを起こせる風土づくりのために、結果の成否を一切問わず、「新しいことへの挑戦」を加点対象にする
  • 社員が視野を広げ、新しい発想が生まれることを期待して、「業務と全く関係のないことへの取り組み」を評価対象に加える

という企業もあります。

人事評価は昇進・昇格や給与・賞与に直結するだけに、社員にとって非常に関心の高いものです。どんな評価項目を設定するかは、会社が社員に何を期待しているのかをわかりやすく伝えるメッセージにもなります。

評価制度をうまく使って、会社の方針や社員への期待を発信しましょう。
その際に大切なことは、メッセージに一貫性を持たせることです。例えば、「失敗を恐れず新しいことに挑戦しよう」と繰り返し伝えているのに、新規の取り組みでも失敗すると減点される評価制度では、挑戦への本気度が疑われます。
会社の方針と評価の仕組みが合致していることは、とても大切です。
あなたの会社の評価制度は、正しく会社の期待を表現していますか?