日本企業の改革とそのための人事制度

JTC(ジャパニーズ・トラディショナル・カンパニー)=「日本の伝統的な会社」という言葉が数年前からSNS上で使われているという新聞記事がありました。年功序列や終身雇用に基づく日本の古い雇用慣習を表現した造語とのことです。

かつて日本の企業は高度経済成長を背景に、事業拡大を前提とした安定的な企業体制のもとで発展してきました。しかし時代は移り変わり、現在は多様化や少子高齢化を背景に、効率的で持続可能な経営が強く求められるようになっています。その実現のために、これまでの考え方を脱却するべく、働き方改革やジョブ型への移行が進みつつあります。

こうしたなか、かつての企業経営に対する若手の不満がSNS上で取り上げられることもありますが、個人的に大きな問題だと感じている内容は、「いくらがんばっても高い報酬が得られず、年齢が同じであれば評価にほぼ差がつかない。その結果、何もしない方が得という意識が芽生える」というものです。このような組織では挑戦がリスクとなってしまうため、メンバーの前向きな行動が表れにくくなってしまいます。

それでは、「挑戦した方が得」とメンバーが思える組織に変わるためにはどうすれば良いのでしょうか。そのような組織に変革するためには、めざす姿を明確にし、適切な人事制度を設け、運用を通じて徐々に変化させていく流れが良いと考えます。

人事制度の各視点における検討事項については以下が考えられます。

等級制度経営戦略と各等級における役割の連動性、役割の明確さ、わかりやすさ。
評価制度経営戦略と目標項目との連動性、評価者/被評価者の制度理解度・運用スキル、評価の説明性・納得性・公正性。
賃金制度評価結果の適切な賃金への反映、妥当な格差。
処遇制度年齢、勤続年数、性別によらない、ルールに基づいた運用。
教育制度人事制度に連動した教育体制(階層別研修体系の構築)、役割に基づくキャリアパスのための教育支援。

以上の要素を出発点に、メンバーそれぞれについて目標達成の実現に向けた前向きで主体的な行動が増えるように取り組むことが必要だと感じます。

仮に、今回取り上げた造語に少しでも当てはまる状況が確認できる場合、まずはメンバーを活かすために「適切な人事制度となっているか」について、点検することをお勧めします。