人事制度構築支援
昨今の経済状況を踏まえ、給与のベースアップを実施する企業が散見されます。物価の上昇にともなう従業員の生活保障や労働力の確保、従業員のモチベーション向上には一定の効果が期待できます。しかし、いったん引き上げた給与ベースを引き下げることは簡単ではありません。だからこそ、ベースアップの実施は経営者にとって戸惑いを感じる行為であり、大きな決断です。
こうした戸惑いの声は、2024年度末に(株)給与アップ研究所が実施した「賃上げと業務改善に関する実態調査」の結果にも反映されています。
https://www.hrpro.co.jp/trend_news.php?news_no=3542
ベースアップのメリットは上記のとおりですが、デメリットもあります。当然のことながら、会社としてはベースアップ分の人件費を支払うだけの利益を生み出さなければなりません。業務の効率化など生産性の向上や業績の安定的な向上が見込めなければベースアップに踏み切ることはできないでしょう。
そのために、経営者はさまざまな経営計画や方針を策定する役割を担い、それらを実行する役割を従業員が担います。ベースアップのための団体交渉権の行使は権利として認められていますが、先述した役割を踏まえると、ベースアップの要求にあたっては、従業員にも一定の責任が求められるのです。だからこそ、従業員に成果を求める成果主義はベースアップと相性が良いと考えます。ベースアップだけが要因ではありませんが、成果主義の導入率は増加傾向にあります。会社として従業員の要求に応えることは重要ですが、同時に従業員に要求する仕組みも重要です。その仕組みが人事制度です。
人事制度は従業員の給与や処遇を決定する仕組みですが、会社から従業員に向けたメッセージでもあります。ベースアップでお悩みの会社は、まずは現在の自社の人事制度を確認してみてはいかがでしょうか。現在の人事制度は従業員にどのように捉えられているでしょうか。今一度ご確認いただくことをお勧めします。