人事労務アドバイザリーサービス
厚労省が残業単価の算定基礎から在宅手当を外す方向で調整に入りました。新聞紙面では、タイトルに「手取り減る可能性」と付記されており、在宅手当を支給している企業の人事担当者の方は、どう対応するべきか気になったかもしれません。
私が報道を見て最初に頭をよぎったのは不利益変更法理との関係です。
この点について、現段階では公的な解釈が見当たりませんが、在宅手当が残業単価の算定基礎から外れれば残業単価が減少しますので、形式的には不利益変更に該当するのだと思います。
とはいえ、従業員の個別合意を取る必要性は高くないでしょう。
もとより「在宅手当を残業単価の算定基礎に含めることに合理性がない」から今回の話になっているわけです。であれば、変更の必要性はあるといえるでしょう。
また、在宅手当の相場は月5,000円程度かと思いますが、その場合、残業単価へのインパクトは「残業1時間当たり40円程度」になるのではないでしょうか(5,000円÷月平均所定労働時間160時間程度と仮定✕1.25≒40円)。仮に月30時間の残業を行う従業員の場合、在宅手当が残業単価の算定基礎から外れることによる残業代の減少額は月1,200円(40円✕30時間)程度となります(在宅手当の金額や労働時間によって左右されますが)。従業員が被る不利益の程度としても基本的には大きくないといえるでしょう。
したがって、従業員との個別合意によることなく、就業規則の改定によって対応しても、リスクは低いものと考えます。
ただ、法的なリスクとは別の話として、「現実に手取りが減る従業員のモチベーションなどへの配慮」は考える必要があるかもしれません。
この点についての私見は、「残業代の削減分を、賞与原資あるいは給与改定原資として全体に還元する」です。
実際に残業代が減るのが在宅勤務者だからといって、在宅勤務者のみを対象に補填措置を講じると、出社している社員との格差が残ります。そもそも、在宅手当(在宅勤務者)と通勤手当(出社者)の間で不公平が生じているから今回の話になっているわけですので、浮いた残業代は全体に還付するのが理に適うでしょう。
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