会計パッケージシステム導入の現状

はじめに

昨今の会計システムは、大企業においても特別な事情がない限りパッケージ製品を選定して導入することが一般的になってきています。
パッケージ製品導入に対しては、パラメーターの設定だけ行えば良いことから、“簡単に導入できると思っている”という声をよく聞く印象があります。
しかしながら実際には、「スケジュールの遅延」「稼働時のトラブル」「コストや導入・運用負担の増大」といった問題を抱えるプロジェクトが散見されます。そこで当コラムでは、会計パッケージシステム導入における問題の原因とその防止策について述べていきたいと思います。

会計パッケージシステム導入プロジェクトの失敗の直接原因

会計パッケージ導入における失敗の原因は、主に次の3点に集約されると考えます。

  • 製品選定の誤り
  • 導入プロジェクト推進計画の誤り
  • 不適切な追加開発の実施
製品選定の誤り

システム選定は、機能や性能の要求を評価して行うため、その点において不足があることは少ないと想定されますが、逆にオーバースペックになっていて、「システム設定が難航し運用負荷が増大する」ケースが見受けられます。

導入プロジェクト推進計画の誤り

会計パッケージ導入プロジェクトの推進計画は、目標や実現方法の設定をはじめとしたプロジェクト開始前までの事前準備の状況や、導入パッケージとパートナーの特性などを勘案して進め方を検討する必要があります。このような「事前準備や進め方の検討が不足」していることが遅延の原因として挙げられます。

不適切な追加開発の実施

会計システムを含む基幹システム全体の設計を踏まえた、適切な機能配置の検討や考慮が不足している場合、本来会計システム以外の領域でカバーする機能を会計システムの方に据え付けてしまうという「システム全体から見た設計の不備」が生じることがあります。
また、会計システム導入における目標や期待効果、優先順位づけなどが周知されてない場合に、パッケージの標準機能では対応困難な事柄が判明した際、安易に新規開発に着手してしまうといった「システム導入方針の不備」があります。

失敗の根本原因

ここまで、会計システム導入が失敗してしまう直接原因を述べてきましたが、次に根本原因について考察します。

製品選定ついて

製品選定の誤りの根本原因としては、以下の2点が考えられます。

  • 計画プロセスの問題
  • 選定プロセスの問題

◇計画プロセスの問題

目標設定と目標を実現するための課題設定までは行うが、目標達成に向けた実現可能性の検証が十分に行われていないことにより、課題の優先順位付けまでが行われず(あるいは関係者の意思統一がされておらず)、「選定における明確な判定基準がない」ことが挙げられます。

◇選定プロセスの問題

製品の選定方法として、RFPに基づいて行われることが多くなりましたが、ここでは主に機能要件への対応可否が検討されます。本来自社が求めるレベルのパッケージか否かを見極めるためには、機能要件に対する実現方法(難易度を含めた実現性)も含めて確認すべき(図1)ところですが、実現方法までは確認しないため、「適切なレベルであることが見極められていない」場合があります。

図1
機能要件に対する実現方法
プロジェクト推進計画の誤りについて

プロジェクト推進計画の誤りの根本原因としては、以下の2点が考えられます。

  • Fit&Gap分析プロセスに対する認識
  • パッケージ設定に対する見通し

◇Fit&Gap分析プロセスに対する認識

パッケージシステム導入プロジェクトの多くは、「現状分析(業務フローの作成など)は行われず」、それはユーザー側が理解している前提としてFit&Gap分析が行われます。その際、“現状とあるべき姿に向けた変更点”が定義されていない場合には、具体的な実現方法を持たない目標の達成と、誰かの記憶にある現状の維持が前提となってしまい、プロジェクトは非常に難航します。同様に「業務設計はユーザー責任のもとに進められる前提」であることから、ユーザー側でしっかりと計画し管理を行わない場合、新業務フローをはじめとするさまざまな業務設計や、それに基づくパッケージの設定が行われない可能性があります。

図2
導入ベンダー側 顧客企業側

システムの導入

業務運用方法決定と設定
  • パッケージ仕様の説明
  • システム導入、パラメーター設定
  • IF仕様・移行仕様の説明
  • GAP洗い出し、新業務設計
  • マスタ設計と設定
  • IF設計開発・移行計画と実施

◇パッケージ設定に対する見通し

自社の目標を振り返って考えれば、“現状維持ではなく高度化や効率化が目標になっている”はずです。またオーダーメイドシステムとパッケージシステムを比較すると、前者は自社の要求に基づいて開発されるために自社にとって不要なものは入り込みませんが、後者はさまざまな企業の要件に対応できるようにつくられており、とくに大企業向けパッケージ製品では数多くの自社に不要なパラメーターやマスタの設定が必要となる場合があります。このため前項で述べたとおり、パッケージシステムの設定の複雑性を踏まえた作業工数の確保が必要となりますが、パッケージという言葉の軽さや選定時の確認不足もあって「自社の状況を踏まえた対策が不足している」ことがあります。

最後に

会計パッケージ導入の現状について、製品選定と導入プロジェクトの側面から失敗の理由について述べてきました。次回のコラムでは、失敗しない会計パッケージ選定と導入のポイントについて述べていきたいと思います。