契約社員の無期転換ルール強化、対応のポイントを考える

厚生労働省は、就業期間の期限があるアルバイトや契約社員が無期雇用に切り替えやすくなるよう制度の見直しの検討を始めました。労働条件の明示を定める労働基準法の省令が2022年度内にも改正される見通しです。

有期契約社員の無期転換ルールは2013年4月に施行されましたが、同省の調査結果ではその権利を行使しているのは3割弱となっており、ルールを知らないと回答した比率は4割近くに上っています。

今後は、同じ企業で5年以上働く従業員に、無期転換を申し出る権利があることを個別に通知することを義務付けると同時に、行使した場合には労働条件の明示が求められる方向で検討が進められており、通知時期も権利が発生する契約更新時だけでなく、その後の契約更新ごととなる可能性もあります。

現在、有期で働く契約社員は全労働者の4分の1を占めているともいわれ、多くの企業で改めて対応の徹底が求められることとなります。

改めて考えるポイントは2つあります。
1つは有期契約社員を対象とした評価制度の整備です。
ジョブ型人事制度への移行が進むなか、適正な人財を無期社員として確保するために、有期契約社員においても求められる役割や職務を明確化し、評価を実施する必要があります。今後は個別に無期転換の権利を通知することが義務付けられ、無期雇用となる契約社員の増加が見込まれます。権利が発生するまでの期間において、契約期間ごとに本人に期待する役割と評価基準を伝え、適切に評価を行うと同時に、その結果をフィードバックすることが重要です。

2つ目は無期転換後の処遇ルールの明確化です。
無期転換後には長期的な活用が求められます。転換時の賃金の決定ルールはもちろんですが、毎年の給与改定や賞与の支給ルール、定年の定めや退職金、さらには定年後の処遇など、長期雇用を前提にモチベーションの維持・向上という面にも考慮して処遇の仕組みを整備することが必要となります。今後は、権利発生時に労働条件の明示も求められる見通しですが、1つ目のポイントである評価の仕組みを含め、事前に無期雇用後の処遇や条件について本人に周知することが望ましいと考えます。

現時点では、本人から求められれば有期の定めを無期に変更するというレベルの対応にとどまっている企業も少なくないと思います。しかし、少子高齢化が進むなか、今後はより積極的に無期雇用について考え、有期契約社員を長期人財として戦力化し、活用していくことが重要となります。改めて制度の見直しのきっかけになればと思います。