人事評価における面接や1on1の実施目的と実施のコツ

4月決算の企業ではもうじき人事評価のための面接が実施されます。また、テレワークの普及から1on1の導入が注目されています。1on1の導入率は、ある調査によると7割以上というデータも公表されています。そこで今回は、時期的にもトレンド的にも注目されている面接や1on1を題材にコラムを記載します。

まず人事評価において、なぜ面接や1on1を実施するのでしょうか。その目的は、社員の主体性や自律性を向上させるためです。ここでのポイントは、人事評価における面接も同様の目的であるということです。人事評価における面接なのだから、評価に納得性を持たせることや、評価情報の収集が目的ではないのか、そう感じる人も多いでしょう。しかし、そもそも評価制度自体、社員の成長を促進するための制度です。そして現代において強く求められるのは社員の主体的・自律的な成長です。だからこそ、人事評価における面接の本質的な目的は、社員の主体性や自律性の向上となるのです。

目的を整理したところで、次は実施するうえでの3つのコツをお伝えします。一番大事なコツは準備です。今から対話する相手のことを事前に考えるようにしてください。相手はこの期間で何を実施してきたか、何をがんばったか、何が至らなかったか。対話は準備が8割といわれます。その場で繕った言葉は相手に伝わってしまいます。

次のコツは、ねぎらいと感謝を伝えるということです。「目的」でもお伝えしましたが、面接や1on1の目的は社員の主体性・自律性の向上です。相手に「次もがんばろう」「次はXXがしたい」と思ってもらい、次のポジティブアクションへと促すために、日々へのねぎらいと感謝を伝え、働きがいを感じてもらう必要があります。働きがいを感じる瞬間は断トツで「承認された瞬間」です。そこで、「お願いします」から始めている対話を、まずは「いつもありがとう」から始めてみてください。また、事前に準備をしておくことで、相手への感謝もよりリアルな感謝になるのではないでしょうか。

3つ目のコツは、不足しているポイントも伝えるということです。ねぎらいと感謝を伝えることが大事と記しましたが、そのためには、相手が目標に向かって何かを成し遂げたという事実が必要です。そのためにも、目標に対して不足があった場合、不足はしっかりと伝え、それを次の目標として設定してもらいましょう。その際には依頼ではなく、提案を心がけてください。「XXが不足していたからXXを目標にしよう」ではなく、「XXが不足していたから、XXを目標にするのはどうかな」というイメージです。繰り返しますが、面接や1on1の目的は社員の主体性や自律性の向上です。目標は可能な限り相手に設定してもらう方が、主体性や自律性の向上に近づくでしょう。

ここまでいくつかのことを記してきましたが、面接や1on1を実施する側の皆様は、これらのコツを実践するにあたって、少し気恥ずかしさを感じるのではないでしょうか? コミュニケーションの仕方を変えることや感謝を伝えることに対しては、私もやはり気恥ずかしさを感じるからです。しかし、相手の主体性や自律性の向上、相手との良好な関係を築くためにも、まずは自分自身から相手に一歩近づいてみてください。面接や1on1の機会は決して多くはないでしょう。この機会を大切に、相手も皆様自身もやって良かったというコミュニケーションの場にしていきましょう。