人事制度の健康診断―評価制度運用アンケートを実施しよう―

人事制度は等級制度、評価制度、賃金制度、教育・研修制度といった諸制度で構成されています。
では、人事制度全体が人体だとすると、心臓部分はどこでしょうか?
我々は評価制度こそが人事制度の心臓だと考えています。

人事制度は人財マネジメントのための仕組みであり、その目的は「会社の業績向上と社員の育成・成長」に向けたPDCAサイクルを機能させることにあります。
そして、PDCAサイクルは「評価制度の運用のなかで行われる上司・部下間のコミュニケーション」によって生み出されますので、評価制度は人事制度のエンジンと位置付けられます。
また、評価結果に応じて昇降格や賃金が決まるため、評価制度が機能不全に陥っていれば、等級制度、賃金制度など他の人事制度も機能不全を起こしてしまいます。
そのため、評価制度こそが人事制度の隅々に血を行き渡らせる心臓部分といえ、評価制度が健全に機能していることは、人事制度にとって極めて重要といえます。

そこでお勧めするのが、評価制度運用アンケートです。
私たちが定期的に健康診断を受診するように、人事制度についても心臓が正常に機能しているか、定期的にチェックしてみましょう。

アンケート項目としては、

  • 評価制度の理解度
  • 評価スケジュールの遵守度
  • 目標設定やフィードバックの面談時間
  • 面談で上司・部下のどちらが多く話をしたか
  • 面談のなかでのねぎらいの言葉の有無
  • 面談のなかでの課題の指摘や翌期に向けての改善のアドバイスの有無
  • フィードバックに対する納得度
  • フィードバックの具体性

などが考えられます。

これを定期的に実施し、結果をウォッチすることで、

  • 各項目のスコアから、自社の評価制度の課題が見え、改善施策を検討できる
  • スコアの推移から、改善施策が奏功したかの確認・検証ができる
  • 評価者と被評価者のスコアを比べることで、上司・部下での感じ方のギャップを知ることができる
などの効果が期待できます。

人事制度は「導入さえすればうまく機能する」というものではなく、定期的なモニタリング・改善を通じて運用をフォローすることが成否のポイントとなります。
運用フォローが不十分とお感じの会社は、まずは評価制度運用アンケートから着手してみてはいかがでしょうか。