2024年4月1日より、労働条件明示事項に関する労基法施行規則の改正が適用されます。
同改正により、労働契約の締結または更新のタイミングで明示すべき労働条件として、以下が追加されました。

(1)就業の場所および従事すべき業務の変更の範囲

(2)有期労働契約の通算契約期間または更新回数の上限

(3)無期転換申込権が発生する場合の無期転換申込機会と無期転換後の労働条件

(1)についてはすべての労働契約の締結時と有期労働契約の更新時に適用されるルールですが、例えば正社員採用について、法改正後も「転勤範囲や業務内容について、会社裁量が無制約にある社員(無制約社員)のみを活用したい」ということであれば、改正法施行後は

  • 就業場所:会社が定めるすべての事業所
  • 従事すべき業務:会社が定めるすべての業務

など、変更可能性のあるすべての就業場所や業務を含める形で記載しておけば足ります。

ただし、考えなければならないのは、「法改正後の労働条件通知書の形式的な書き方」ではありません。

改正の趣旨の1つは、多様な働き方を推進する点にあります。
制約社員化が進む社会情勢、働き手の価値観の多様化、イノベーションの創出などの観点からも、「ダイバーシティマネジメント=多様な価値観や個性を尊重し、企業の成長を促す取り組み」は今後企業にとってますます重要な要素となります。

無制約社員を前提とした画一的な人事制度しか持っていない企業は、今回の法改正(1)について、「労働条件通知書の形式的な書き方の問題に過ぎない」と安堵するのではなく、多様な人財を活用できる仕組みになっているかを振り返る機会としましょう。