【製造業の方は必見!】ERPリプレイスを成功に導くポイントとは? 周辺システム編(2)

ERPのリプレイスを検討されるなかで、周辺業務に関する領域も合わせてシステム化するべきかお悩みのお客様も多いのではないのでしょうか。前回は、各周辺システムの定義とその役割について紹介ました。今回は、同時導入の検討対象となることが多い代表的な周辺システムであるスケジューラ、MES(Manufacturing Execution System)、BI(Business Intelligence)を取り上げ、同時導入の可否を判断するポイントについて紹介します。

1.同時導入可否判断のポイント紹介([1]スケジューラ) 同時導入のおすすめ度(★)

同時導入の検討対象となる代表的なシステムの2番目として「スケジューラ」を取り上げます。
一般的に、以下の理由によりERPシステムとスケジューラは別々に(段階的に)導入する方が現場の業務オペレーションの混乱を招かずに導入できるケースが多いです。

  • スケジューラは工程の責任者が種々の製造条件(設備能力、作業者シフト計画、部材有無、治工具有無)をインプットに、トライ&エラーでパラメーターを精緻化しながら小日程の計画(作業計画)を立案していく作業となります。
  • ERPシステム稼働直後はERPシステムの担当となる大日程・中日程の計画立案の精緻化が優先されます。
  • 上記と並行して小日程をトライ&エラーで精緻化していく作業は、現場に大きな作業負荷をかける可能性が高くなります。したがって、ERPシステム導入後、情報の整備がなされた後にスケジューラを導入する方が手戻りも少なく、また現場の作業負荷も抑えられます。

2.同時導入可否判断のポイント紹介([2]MES) 同時導入のおすすめ度(★★★)

同時導入の検討対象となる代表的なシステムの3番目として「MES」を取り上げます。
広義のMESにはスケジューラが含まれますが、ここでは実績データ収集に限定してポイントを記載します。ERPシステムでは正確な実績データをタイムリーにインプットすることで、より効果的にシステムを活用することができますので、実績データ収集の役割を担うMESは同時に導入することをおすすめします。
具体的には、ERPシステムからMESへ製造指図を送り、MES側でキー情報として登録と実績の消し込みに利用します。またMESから製造実績をERPシステム側に返すよう連携させます。留意点としては、MESへの入力手段がIoTの普及により多種多様(スマートフォン、タブレット端末、HHT、バーコード、タッチパネル、ICタグなど)となっているため、費用対効果(リアルタイム性など)を見定めて入力手段を選択することが求められます。

3.同時導入可否判断のポイント紹介([3]BI) 同時導入のおすすめ度(★★)

同時導入の検討対象となる代表的なシステムの4番目として「BI」を取り上げます。
BIは、帳票数の削減やペーパーレスの推進といったわかりやすい効果が見込めるため、同時導入をおすすめします。なお、BIは対象とする情報リソースのシステムや利用部門を限定して導入できるといった特徴があり、部分限定的な導入という選択肢も含めて同時導入の検討をおすすめしています。ERPシステムとの連携については、ERPシステムでリアルタイムデータの管理を担当し、BIにて時系列データの管理を担当するといった役割分担が基本となります。
以下に代表的な活用例を紹介します。

  • 生産計画と実績の差異を分析する
  • 購買実績より、納期遵守率や不良率を分析し仕入先評価を行う
  • 購入実績から部材ごとの価格変動を時系列で管理する
  • 製造リードタイムや購入リードタイムの実績とマスタ設定値を比較し、マスタメンテナンスの可否などを判断するトリガーとする

まとめ

ERPシステムの刷新にあたり周辺システムも含めた導入範囲の決定や導入計画の立案は重要なテーマとなります。弊社では多くのお客様に対してERPシステム選定の支援を行ってまいりました。今回紹介したテーマを含め、個別のご相談がございましたらぜひお気軽にお問い合わせください。