電子取引データ保存の検索要件への対応

電子帳簿保存法の施行規則、取扱通達、一問一答の改正

令和5月(2023年)3月に電子帳簿保存法の施行規則の改正内容が公表され、令和5年6月に取扱通達および一問一答の改正内容が公表されました。これらの改正は令和6年(2024年)1月から適用されます。この施行規則、取扱通達および一問一答の改正のポイントについて、それぞれ説明します。

電子取引データのデータ保存の完全義務化

これまでの電子帳簿等保存制度の見直しにより、取引先と取引情報を電子データでやりとりした場合は、その電子データ(電子取引データ)を保存することが求められています。また、令和5年12月までは、出力した書面による保存を容認する宥恕措置が設けられていますが、令和6年1月以降、宥恕措置が廃止されることとなっています。このため、これまで宥恕措置を適用して電子取引データを書面に印刷して保存していた会社についても、電子データでの保存が必須となります。

令和5年改正における検索要件の改正

電子取引データを電子データで保存するにあたり、重要な検討事項の一つに、どのような形で検索要件を充足するかということがあります。検索要件は、「一定の条件により電子取引データを探し出すことができる」というものですが、これに関連して、改正施行規則により、令和6年1月以降、下記の改正が行われることとなっています。

(1)新たな猶予措置の整備

所轄税務署長が相当な理由があると認めた場合で、データのダウンロードの求め、出力書面の提示または提出の求めに応じることができる場合は、保存要件(検索要件以外の要件も含みます)にかかわらず、電子データの保存をすることが可能となります。

(2)検索機能のすべてを不要とする措置の対象者の見直し

一定の条件に該当する場合で、電子データのダウンロードの求めに応じることができる場合に、検索要件のすべてを不要とするという規定があります。この一定の条件に該当する対象者は、従来は売上高が一定金額以下という条件のみが設けられていましたが、出力書面(整然とした形式および明瞭な状態で出力され、取引年月日その他の日付および取引先ごとに整理されたものに限る)の提示または提出の求めに応じることができる保存義務者が追加されます。なお、(2)の措置は、(1)の「新たな猶予措置の整備」とは、別途設けられた対応方法です。

令和5年改正に対応した取扱通達、一問一答の公表

上述の(1)(2)の改正内容を実務に適用するにあたり、一部不明な点もありましたが、改正取扱通達、一問一答の公表により、下記の旨の解釈や適用関係が示されています。

「(1)新たな猶予措置の整備」について

猶予措置は、電子取引データを要件に従って保存するための対応が間に合わない事業者の実情に配慮した措置です。このため、要件を充足するために必要となる期間を経過した後は、この猶予措置は適用できないと考えられます。

「(2)検索機能のすべてを不要とする措置の対象者の見直し」について

一方で、検索機能のすべてを不要とする措置については、書面の出力時期について特段の定めが設けられていないため、一定のタイミングでまとめて出力するなど、ある程度柔軟な対応が可能であることが示されています。

なお、このような(1)(2)の内容の対応を行わない場合は、従来からの検索要件――イ.主要な記録項目での検索、ロ.日付、金額の範囲指定による検索、ハ.任意の記録項目の組み合わせ検索(電子データの提示又は提出の要求に応じることができる場合はイのみ)に対応する必要があります。このケースに関しても、改正取扱通達、一問一答では、記録項目の日付や金額に関する考え方について、取引の特定の日付、金額に限定しないなど実務に配慮した内容が示されており、業務効率化の余地が大きくなったといえます。

検索要件への対応方法の検討

このように令和6年1月以降、電子取引データを電子データで保存することは必須となりますが、一方で、緩和された検索要件が追加され、また、柔軟な対応を可能とする考え方が示されています。
これまで多くの会社が検索要件への対応方法の検討を進めてきたと思いますが、今回の改正、取扱通達、一問一答の公表を機に、業務をさらに効率的に行えるよう対応を検討することも考えられます。