海外渡航時の隔離生活の実態

新型コロナウィルス感染が確認されてから1年半が経過しました。
各国では、入国後の集中隔離措置など、所定の要件を満たしたビジネス渡航者の入国のみを受け入れるなどの渡航者受入制限を実施していますが、ワクチン接種の開始にともない、ワクチン接種者に対しては隔離なしでの入国受け入れの検討を開始した国も出てきています。
そうはいっても、そのような国はまだ一部であり、まだまだ入国後の集中隔離は避けられないのが現状です。
著者はベトナムにおいて、これまで2度の集中隔離(近日3度目を予定)を体験しましたが、集中隔離の実態は一体どのようなものなのか?Q&A形式で具体的にご紹介していきます。

Q:入国後、空港から隔離施設までは、どうやって移動するのですか?

A:自身で手配した専用車両で移動します。空港の出口ゲートはクローズされており、裏口の車両通用口で待機し、名前が呼ばれたらドライバーから手渡された防護服を着て車両に乗り込み、手配した隔離ホテルまで移動します。

Q:部屋から外に出ることができないというのは本当ですか?

A:タイでは特定の時間帯において隔離ホテル敷地内であれば外出できるようですが、ベトナムの場合は完全に部屋から外に出ることはできません。2週間の隔離期間中は、入国後翌日と、集中隔離完了前日に実施される2回のPCR検査のため、検査室へ移動する時のみ、部屋の外に出ることになります。

Q:食事はどうするのでしょうか?

A:朝食1食のみの提供で、昼夜は各自デリバリー手配となる隔離ホテルもあるようですが、3食提供される隔離ホテルもあり、そちらの方が手間は掛かりません。その際、何種類かから選べるホテルもあり、私もそのなかから選択しました。他の隔離経験者に聞くと、皆さん飽きてしまって何日かはデリバリーを手配したとのことで、「よくデリバリーを頼まず過ごしましたね」と言われますが、私の場合、他国を含めて海外滞在生活が長いことから、食の面ではある種の慣れがあるのだろうと考えています。

Q:仕事ができる環境ですか?

A:率直に言って、自宅でのリモートワークと何ら変わりません。隔離施設といってもホテルですので、Wi-Fiを利用して、Web会議も問題なく行えます。

Q;その他、何か不便な点はありますか?

A:書類の受け取りや書類への署名は少し不便です。フロントに書類を届けてもらえれば受け取れますが、隔離者からの書類は、フロント経由であっても外に出すことはできません。署名が必要な場合は、書類をメールでフロントに送って印刷してもらい、署名後、自分が持ち込んだハンディスキャナーでPDF化し、メールに添付して送信していました。

現状、諸外国にビジネス訪問する際は、このような入国後の隔離を強いられ不自由な状況となりますが、現地ニーズやマーケット状況を見据えて現地への拠点展開を進めている日系企業は少なくありません。コロナ禍が落ち着いたらではなく、落ち着く前にどう先手を打ち、工夫していけるかがビジネスのカギになってきていると考えます。