アジア地域ではなぜ業務改革が進まないのか? ~Part 2~

前回は、「日本人管理者の関与度合い」「現地担当者の特性」の2つの観点を挙げ、これらを踏まえて、どのように改革を推進していくかお話ししました。
今回は、「現地担当者の特性」にスポットを当て、現地担当者の改革への取り組み姿勢を層別し、どのような特徴があるか、どのように対処していく必要があるかを見ていきます。

(1)ベテラン人員

社内での声が大きく、納得するまで動かないタイプです。
主にこれまでの自身の聖域がなくなることを最も恐れており、反対側に回ると反対派としての影響力が大きいといえます。
このタイプには、改革が成功すれば賞与や昇給に反映することを強く説得し、協力させることが有効です。

(2)今後のコア社員

意識を持ち、自分なりに考えて推進しようとするタイプです。
ただし、ネガティブ発言の多さは、自身の考えに反していることに起因していますので、日本人管理者は間違った方向に進まないようウォッチしながら主体的に動いてもらうことが有効です。

(3)まず目的・目標を再認識すべき社員

本来あるべき業務プロセスを考えたことがなく、これまでの業務が普通であると認識し、積極的な関与を控えているタイプです。
アジア地域では、経理処理は使い慣れたローカルパッケージを利用し、周辺の基幹業務は前任者から引き継いだExcelに沿って管理するというケースが多く、これが普通であると固定概念にとらわれていることがその背景にあります。
このようなタイプに対しては、なぜ変革するのか、どうプロセスを変えるのかを再認識させ、進むべき方向を具体的に示すことが有効です。

(4)育てるべき社員

まだ業務経験も浅く、変化がどう影響するかまでは見通せないために、疑問を持たず何とか遂行しようとするタイプです。
このようなタイプには、改革の機会を、業務を正しく理解させ、成長を促す場として利用し、育てていくことが有効です。

今回は、「現地担当者の特性」にスポットを当てましたが、各タイプの担当者への対処においては、強力な推進力とケアが前提であり、その役割は日系企業である限り、日本人管理者が担うこととなります。
このことからも、“現地担当者の特性”の見極めと“日本人管理者の関与度合い”の向上が、両輪となることがおわかりになるかと思います。