2025年の育児・介護休業法改正に向けた対応について

育児・介護休業法が、以下の3分野で改正され、2025年4月より段階的に施行されます。

  1. 子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置の拡充
  2. 育児休業の取得状況の公表義務の拡大や次世代育成支援対策の推進・強化
  3. 介護離職防止のための仕事と介護の両立支援制度の強化など

法改正に向けて準備を進めている企業も多いと思います。

育児・介護休業法はこれまでも頻繁に改正されてきましたが、過去の改正時には、「企業や人事部門の管理負荷・対応負荷を抑える」という点を重視して、最小限の対応のみを実施するという企業も見られました。
しかし、少子高齢化や共働き世帯の増加が進んでいくなか、育児や介護を理由に柔軟な働き方を求める従業員は、もはや少数派ではありません。このような背景を踏まえると、人事部門は「最小限の対応」という受け身のアプローチにとどまらず、「人財の定着やモチベーション向上のために最適な形は何か」という能動的なアプローチで施策を検討することが求められます。

これは一例ですが、時短勤務の選択肢として「1日6時間×週5日勤務」だけでなく、「1日7.5時間×週4日勤務」といった形で、週の所定労働日数を減らす対応も考えられます。
1日まるごと育児や介護のために使える日が確保されることにより、必要な対応を落ち着いて行えるため、家族のケアを効率よく進めることができます。また、育児や介護では突発的な対応が必要になることが多いため、勤務日そのものを削減することで緊急時にも柔軟に対応しやすくなりますし、通勤負荷の軽減といったメリットもあります。

ほかにも、育児・介護を理由とする地域限定正社員制度の導入なども、従業員が転勤を避けながら安心して働き続けるための有効な施策でしょう。

こうした施策は法律上必須ではありませんが、「法律上要求される最小限(MUST)の対応」という枠に捉われず、従業員のニーズを把握して施策を広く考えてみましょう。

育児・介護休業法の改正は、企業にとって単なる法的義務の履行にとどまらず、多様な人財を最大限に活用するための検討の機会といえます。
積極的に制度を整備し、従業員が安心して働ける環境を提供することで、企業の持続的な成長と発展をめざしていきましょう。