システム導入支援(受入テスト支援・移行支援)
シリーズ最終回となる今回は、「システム切替」について見ていきます。
※本連載では、会計システムを例に移行について紹介しています。
「システム切替」とは、「周辺システムの接続先を新システムへ切り替える」ことであり、新システムの利用を開始するために本番移行のなかで実施されます。
なお、システム切替の準備は、「データ移行」と同様に移行検討の工程に含まれます。
※「移行」の全体像については「職人コンサルが語るERP移行の基本:(1)移行とは何か」を参照
新システムと周辺システムが、どのようなデータ連携をするのかを考え、切替対象となるシステムとデータを整理します。加えて、それぞれの切替タイミングやインターフェイス(IF)仕様を決定し、システム切替の対象として定義します。
対象ごとにシステム切替(連携設定の変更)の手順書を作成します。
アドバイス
手順書の作成にあたっては、どの手順書を誰が作成するのかを明確にしておくことが重要です。
システム切替は、周辺システムなどの保守担当であるシステム部門が行うことが多く、往々にしてシステム部門まかせになりがちです。プロジェクト側が曖昧な進行をした結果、“必要な手順書がない”という事態が起こらないよう注意しましょう。
機能ごとの業務利用開始やデータ移行実施のタイミングを踏まえ、システム切替実施のタイミングを決定し、移行シナリオ(本番移行の日程表)に反映します。
移行シナリオとシステム切替の手順書に沿ってリハーサルを実施し、シナリオや手順の検証とブラッシュアップを行います。
アドバイス
検証方法は、周辺システム側の状況を考慮して決定する必要があります。
周辺システム側は本番環境で稼働している状況にあるため、“検証環境を用意できるか”“設定を本番環境と同等にできるか”などを踏まえて、リハーサルによる検証ができるかを判断しましょう。
※本番環境と同等の検証環境が用意できない場合、机上検証にとどめるという判断もあり得ます。
移行シナリオとシステム切替の手順書に従い、各IFの連携設定の変更やJOBスケジューラーの変更などを実施します。
アドバイス
新システム稼働月の前月末の月次締め処理は、新システムの稼働開始後に現行システムで行います。現行システムでの月次締め処理に必要な連携が完了するまでは、対象の連携設定を変更しないよう注意しましょう。
以上がシステム切替の基本の流れです。
ここからはシステム切替の活動の留意点を見ていきましょう。
システム切替の活動には、現行システムや周辺システムを保守する担当者の協力が欠かせません。
円滑な協働のために、作業依頼や検証結果の提示方法などのルールを作成し、ルールに沿ったコミュニケーションを行うことが重要です。プロジェクト側は担当者に対し余裕を持った相談・依頼を心がけましょう。
新システムを各周辺システムと共通のIDで管理する場合などは、新システムのみならず周辺システム側の対応を検討することが必要です。プロジェクトの早い段階でIDや権限のあるべき姿を明らかにし、ID管理機能の改修などをシステム部門と一丸となって進めることが重要です。
システム切替を含む「移行」の活動と隣接する活動に「環境設定」があります。
「環境設定」という言葉が表す範疇は、プロジェクトによってさまざまで「クラウドにパッケージをインストールして初期設定を行うところまで」を指す場合もあれば、「本番環境にカスタマイズ設定を実施するところまで」を指す場合もあります。
そのため、「移行」と「環境設定」の間では、作業の重複や漏れが発生しやすく、各作業をどちらの活動に含めるのかを明確にしておくことが双方にとって重要です。
例
勘定科目マスタなどはデータ移行の対象として整理するのではなく、環境設定の対象として整理するプロジェクトもあります。
補足:環境設定とカスタマイズ設定
環境設定では、パッケージの初期設定を実施した後、開発環境や検証環境の設定を経て、本番環境の設定を行います。その後、パッケージのカスタマイズ設定や開発プログラムの反映が行われることになります。
新システムの稼働開始後、現行システムへの入力を停止しますが、過去のデータを参照するためにシステム利用は一定期間継続する場合があります。その際、参照用の設定変更が必要となることがあり、作業漏れには注意が必要です。
全4回にわたって「移行」を題材にコラムを展開してきましたが、いかがでしたでしょうか。
「移行」が開発の陰に隠れ後回しにされた結果、プロジェクト終盤で“火をふく”、その構造を読者の皆様にわずかでも知っていただけましたら嬉しく思います。
当社はSAPをはじめ、会計ERPパッケージ導入における移行支援の実績も多数ございます。お困りの際はお問い合わせください。
お問い合わせはこちら→ここまで本コラムシリーズをお読みいただきありがとうございました。
末筆ながら、皆様とご一緒させていただく機会が訪れることを願っています。
著者:黒木 仁、髙橋 駿
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