内部監査部門のモチベーション

品質不正、検査不正、粉飾決算、企業経営には様々な不正が起きています。不正が起きるたびに、再発防止策が策定されますが、また似た様な不正が起こってしまう、残念ながら、これが企業経営の実態です。理由はいろいろあると思いますが、経営者をはじめとして社員皆が、これくらいはいいだろう、今まで特に指摘されなかったから、上司や先輩もやっているから、といったマインドが社内を支配しているからだと思われます。

そうした中で、内部監査部門に配属された方々は、どういった観点で内部監査を行なっていけばよいのでしょうか。定められた内部監査基準にしたがって、粛々と業務をこなしていけばよいのでしょうか。内部監査を実施すると、監査を受ける側から喜ばれることはほとんどないのが現実です。そんな中で基準にもとづいて監査を行うだけでは、何か味気なく、モチベーションがわいてこないのではないでしょうか。

私見になりますが、ラグビーのレフェリーのようなスタンスが理想なのではないかと感じます。ラグビーの試合をテレビの副音声で観戦しますと、レフェリーが、選手が反則を犯しそうになる前に、「何番オフサイドになるよ。」といった警告をして選手が反則を犯さずに、試合がスムーズに進むサポートをされていることに気づきます。内部監査部門もこの精神で業務に臨まれれば、あの時問題を犯さなくてよかった、一線を超えそうな誘惑にかられたが思いとどまれたといって、将来他部門から感謝されることも出てくるのではないかと思います。

過去にこんな不正事例があった、他社ではこんな不正で問題になった、これくらいは大丈夫だろうから大問題に発展した、といった情報を社員に伝えて、不正を行うことのリスクが高いことを事前に教えてあげることが大事だと思います。 不正や問題を見つけて指摘するだけでなく、不正を行えないようにしてあげて、経営者や社員が不正に手を染めて将来を台無しにすることがないようにしてあげるのが、理想の内部監査だと思います。