経理財務BPOにおけるDX事例紹介 ~手入力仕訳の全自動化~

BPOとDXについて、今回は、弊社が2022年度より経理財務BPO領域で取り組んでいるDXの最新事例「手仕訳の全自動化」について紹介します。

1.エンタープライズDXとスモールDX

社内の基幹システムの刷新、またはERPの導入を「エンタープライズDX」と呼ぶなら、弊社が経理財務領域のBPOサービスの一環として実現しようとしているDXは「スモールDX」です(図1参照)。そもそも、経理財務領域のBPOは、多くがエンタープライズDXに組み込めなかったために、人の手作業に委ねることとなった業務の集合体です。そのため、すべての業務をエンタープライズDXに組み込められれば、人の作業はなくなっていくのですが、費用対効果の関係でアドオン開発による自動化が見送られるなど、標準機能でカバーできない領域の業務は、どうしても経理財務部門もしくは発生部門での手作業業務となってしまいます。

■図1:「スモールDX」手入力仕訳の全自動化 対象範囲

2.BPOのDX=手作業(手仕訳)の全自動化

例えば、給与計算システムにおいて、給与計算の結果から生成される給与関連仕訳は、多くの会社では会計システムに自動インターフェースされています。一方、グループ会社間の出向者に関わる人件費の請求などは、給与計算システムの外の処理とみなされ、出向者情報はExcelで管理。人事部門から受け取るExcelを証票として、経理財務部門が手作業で仕訳入力していることが多いようです。また前払費用や長期前払費用の費用への振替仕訳、仮払金・仮受金からの振替仕訳なども手作業の代表例ではないでしょうか。

財務部門の決算業務は、分類すると下記の3種類の業務となります。

  • 各種伝票チェック業務:他部門が入力した伝票のチェック業務
  • 手入力仕訳作成業務:経理財務部門で振替伝票、支払伝票、請求伝票を起票
  • 帳票作成業務:BS、PL、キャッシュフローなどのレポート作成

弊社が「スモールDX」としてねらいを定めているのは、上記の(2)「手入力仕訳作成業務」のDX化(=全自動化)です。

3.全自動のコア機能「自動仕訳機能」・・・ACT-Journal CONNECT

自動仕訳で重要になる機能は、1件の取引データから、借方・貸方の2件のデータを生成する「自動仕訳機能」です。基幹システムでは、会計システムへのインターフェース時に、上流の購買や販売システムから貸借2件(例 借方:費用/貸方:未払費用)が自動生成されています。この自動仕訳の仕組みについて、弊社には自動仕訳ツールとして外販している「ACT-Journal CONNECT」があります(図2参照)。

「ACT-Journal CONNECT)については以下のページをご参照ください。
https://www.bbs.co.jp/product/act-journalconnect/

元々はエンタープライズのシステム間自動仕訳ツールとして開発したものですが、これをバージョンアップすることで、クラウドストレージ上のExcelファイルを読ませて自動仕訳を生成するツールとしています。また、この「ACT-Journal CONNECT」は、ノーコード開発を実現しており、画面上で項目をマッピングしていけば裏でプログラムを生成する仕組みになっています。業務とツールの両方を理解した弊社のBPOコンサルタントであれば、これらの設定が可能になります。仕訳の元データとなるExcelファイルは、共有ドライブに保存されたものやメールで受信したものをクラウドストレージにアップロードしていただければ、弊社がクラウド上で自動仕訳処理を行い、貸借の仕訳データを生成し、お返しします。あとは、でき上がった貸借の仕訳データをRPAなどで貴社の会計システムへ自動的にアップロードする仕組みを組み込めば「仕訳入力の全自動化」の完成です。

■図2:「ACT-Journal CONNECT」処理機能イメージ

4.経理財務BPOの本業=「マニュアル作成」が全自動化の前準備

経理財務BPOのコア業務は、業務を実施・遂行することではなく、マニュアルを作成することです。我々のBPOベンダーとしての強みもこのマニュアル作成にあります。誰が実施しても同じ結果が得られるマニュアルが完成すれば、将来的に、現在の担当者が代わっても品質の担保が期待できます。
また、この「誰でも実施できるような精度の高いマニュアル」の完成は、そのまま自動仕訳設定の準備ができたことを意味します。これをツールに実装していけば、全自動仕訳DXが完成することとなります。

5.効果と課題

仕訳業務の全自動化の実現イメージは、おわかりいただけたかと思います。効果として、これまで人が手作業で10分~20分かけていた仕訳データ作成処理を一瞬で終えることができるようになります。この部分だけ見ると大幅な工数削減が実現できます。しかも、転記ミスや処理モレといったケアレスミス、うっかりミスも回避できるため、コスト、スピード、品質、いずれも大きな向上が見込めます。
ただし、課題が2つあります。1つは初期費用の回収でしょうか。1件の仕訳を設定する時間は難易度にもよりますが、標準的なもので、設定開始からテスト完了まで、およそ2日~3日かかります。100仕訳の自動化を実現するには、300人日かかる計算になります。ただ、これも少なくとも1年~2年使う見込みがあれば、十分採算がとれるものと考えます。
2点めは、保守・メンテナンス。RPA同様、一度設定した自動化処理も、何らかの前提変更があったり、Excelファイル上に思わぬ変更などがあったりすると、自動仕訳の処理が止まります。この保守業務をいかに効率的に行えるか、または処理停止をいかに未然に防げるか、これがポイントです。弊社の場合、この保守・メンテナンス業務もBPOとして継続的に受託しています。

6.BPOだけでなくクラウドの仕訳変換サービスも提供可能!

本日紹介した全自動仕訳システムは、BPOを受託しているお客様だけでなく、クラウド上での仕訳データ生成サービスとしての提供も構想しています(図3参照)。

■図3:クラウド上での自動仕訳データ提供サービス イメージ

お客様から、元となるファイルをクラウドストレージ経由で提供していただければ、お客様のシステムに合ったフォーマットでの仕訳データに変換し、OutputとしてCSVファイルを納品します。2023年の4月から本番環境への実装を開始したばかりですので、価格体系などは個別のご相談にはなりますが、興味を持っていただきましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。よろしくお願いいたします。