会社の成長を支える「あるべき評価制度」と、これからの人事部の役割

近年、「人事部に不満がある」と感じる社員が増えているといわれます。その理由として多く挙げられるのが、評価制度への不満です。評価は賃金や賞与、キャリアに直結するだけに、社員にとっては非常に関心の高いテーマです。一方で、人事部の立場から見ると、評価制度の設計・運用は決して単純なものではありません。
従来の日本企業では、年功序列や相対評価を軸とした制度が長く主流でした。しかし、事業環境の変化が激しくなるなかで、こうした仕組みの有効性は次第に限界を迎えつつあります。限られたポストを前提とした評価では、どれだけ努力しても報われない社員が生まれやすく、不満や離職につながりかねません。今、企業に求められているのは、「結果」だけでなく「プロセス」や「挑戦」を公正に評価する仕組みではないでしょうか。

評価制度を検討する際、必ず議論になるのが「絶対評価か、相対評価か」という論点です。評価者のスキルにばらつきがあることや、評価結果の調整が必要になることから、相対評価を採用している企業も未だ多く見られます。とくに人事部としては、分布調整が可能な相対評価は運用面でコントロールしやすいという側面があるのも事実です。
しかし実務上、「完全な相対評価」を実現することは想像以上に難しいといえます。評価対象となるメンバー構成や業績水準は期ごとに異なり、「誰と比べてどうだったのか」を一貫した基準で説明することは容易ではありません。また、「なぜこの評価なのか」「次に何を改善すれば良いのか」といった問いに対し、相対評価では説明が抽象的になりやすく、フィードバックの納得感を損ねてしまうケースも少なくありません。

こうした事情から、近年は評価基準の明確化や評価者育成を前提に、絶対評価へ移行、あるいはその比重を高める企業が増えています。評価制度で本当に重視すべきなのは、評価のつけやすさではなく、社員の行動を変え、成長を後押しできるかどうかという視点です。
評価制度をめぐる問題意識は、データから見ても明らかです。各種調査によれば、目標管理制度や評価結果のフィードバックを導入する企業の割合は年々高まっており、評価を「つけっぱなし」にせず、行動変容やモチベーション向上につなげようとする動きが広がっています。また、人事担当者の約半数が「人財の評価制度を見直す必要性を感じている」と回答しており、その主な理由は「従業員にとって納得感の高い評価にするため」です。一方で、実際に制度改定まで踏み込めている企業は3割程度にとどまっており、課題意識と実行の間にはギャップが存在しています。

同時に、人事部の役割も大きく変わりつつあります。これまでの人事部は、労務管理や制度運用といった「組織を守る役割」が中心でした。しかし人的資本経営が重視される現在では、人事は経営戦略と連動し、人財の獲得・育成・配置・評価を通じて企業価値を高める存在であることが求められています。
なお、BBSでは、こうした課題意識のもと、人事制度全体の見直しや評価制度の再検討に関する支援を行っています。成果評価・行動評価の設計、評価基準の言語化、評価者育成、運用定着までを一体で捉え、各社の事業戦略や組織特性に即した制度づくりを重視しています。
評価制度への不満は、人事部と現場との認識のズレから生まれることも少なくありません。これからの人事部には、制度の管理者にとどまらず、経営と現場をつなぐ存在として対話を重ねる姿勢が求められます。評価制度と人事機能を見直すことは、企業の未来を見直すことそのものです。今こそ、人事部が変化の起点となるべき時ではないでしょうか。