「ホワイトハラスメント」を生まないために人事部がすべきこと

近年、ハラスメントの一種として、「ホワイトハラスメント(以下、ホワハラ)」という言葉が使われるようになりました。これは、上司や先輩が「良かれと思って」過度に配慮した結果、部下・後輩の能力発揮や成長、やりがいを阻害してしまう状態を指します。
例えば、「負担にならないように重要な仕事、挑戦的な仕事を一切与えない」「注意や指導を避け、改善点を伝えない」「本人の意思を確認せずに業務量を制限し、仕事が残っていても残業させずに引き取る」といった行動です。

(株)マイナビが発表した「中途入社1年以内の社員に聞いたホワイトハラスメントに関する調査」によれば、14%がホワハラを経験したことがあり、さらにそのうち71%が「今後1年以内に転職したい」と回答しています。同調査でホワハラ経験がない人の転職意向は48%であったことを踏まえると、ホワハラが社員の定着に与える影響は大きいといえます。

ホワハラが生じる背景には、どこからがパワハラになるのかの線引きが不透明で、部下にパワハラと受け止められるのではないかといった上司側の不安があります。
実際に「ハラスメントになるのが怖くて指導できない」と感じる管理職は多く、部下への発言や指導を躊躇する上司が8割を超えるという調査結果もあります。
一方で、最近の若手社員は成長意欲が強く、自身の成長につながる挑戦的な仕事や適切な指導・フィードバックを望む人が多いといわれます。必要な指導を行わないこと自体が、結果的に仕事のやりがいや成長実感を奪い、ホワハラと受け取られてしまう可能性があるのです。

では、ホワハラを生まないために、人事部にはどんな取り組みが求められるでしょうか。
まず、職場のコミュニケーションを活性化し、マイナスのフィードバックも行いやすい風土づくりを進めること。その施策の一つとして、社員の成長を目的とした評価制度を整え、期待役割や評価基準を明確にするとともに、定期的なフィードバックをルール化し、指導が一過性にならない仕組みを構築することも重要です。
また、マネジメント研修や評価・フィードバック研修を通じて、管理職の指導力を高めることも必要です。その際、「何がハラスメントにあたり、何が適切な指導なのか」という線引きを明確に示すことが現場の安心感につながります。
さらに、明らかに過剰なハラスメントの訴えに対しては、上司を守る姿勢を示すことも大切です。人事部が組織のバランサーとして機能することが、健全な指導と社員の成長につながります。