災害に備えて人事部がすべきこと

2026年7月28日、熊本県を震源とするマグニチュード7.1、最大震度7の地震が発生しました。大きな余震も相次ぎ、改めて日本が地震大国であることを突き付けられた出来事でした。
「いつか備えなければ」と感じながらも、日々の業務に追われ、後回しにしている企業は少なくないのではないでしょうか。

(株)帝国データバンクが2026年に実施した調査によると、BCP(事業継続計画)を策定している企業は21.4%と過去最高を更新したものの、依然として全体の2割にとどまっています。未策定の企業は40.7%にのぼり、規模別に見ると、大企業の策定率が39.9%であるのに対し、中小企業は18.3%と、20ポイント以上の差がついています。

策定していない理由としては、「必要なスキル・ノウハウがない」が42.2%、「策定する人材を確保できない」が33.5%、「策定する時間を確保できない」が28.1%と続きます。必要性は感じているものの、リソース不足から手が回っていないという企業の実情が浮かび上がります。

BCPというと、事業をどう止めずに継続するかという、経営陣や総務部が主導するテーマとして語られがちですが、そこには「社員をどう守るか」という、人事部ならではの視点が欠かせません。

例えば東京都では、東京都帰宅困難者対策条例により、事業者には従業員向けに3日分の飲料水や食料などを備蓄する努力義務を課しています。しかし実際には、備蓄はしていても中身が古いまま更新されていなかったり、そもそも保管場所を社員が知らなかったりするケースも少なくありません。

災害はいつ・どこで発生するか予測できないからこそ、平時からの備えが被害の大きさを左右します。人事部として取り組むべきことを、3点に整理します。

  1. 安否確認体制の整備と定期訓練

    安否確認システムを導入するだけでなく、年に1回以上は実際に稼働させ、回答率を確認するとともに、連絡が取れない社員への対応フローまで確かめておくことが重要です。

  2. 帰宅困難者対応・備蓄品の整備

    3日分を目安に、飲料水や食料、簡易トイレ、毛布などを用意し、賞味期限や使用期限を定期的に点検する担当者と管理の仕組みを決めておきましょう。

  3. マニュアルの整備と平時からの周知

    災害時に誰が何をするのか、役割分担を明文化し、全社員に周知しておきます。併せて、被災後の心身のケア体制として、相談窓口や休暇の取得方法などもマニュアルに盛り込んでおくと安心です。

BCPを策定し、訓練を行っても、緊急時にすぐ効果を発揮するとは限りません。大切なのは、平時のうちに備えを積み重ね、繰り返し見直すことです。「いつか」ではなく、「いつ起こってもおかしくない」という前提に立ち、自社の備えを改めて点検してみてはいかがでしょうか。